閑話休題 サブプライムローン
サブプライムローンの余震で、不良債権問題から抜け出したばかりの日本経済の将来には暗い影がさしている。経済弱者が優遇された強者以上の金利負担に耐えられるはずはない。与信に不安がある場合、金利を高くして焦げ付いた場合のリスクと平均化しようとする。
これは資本主義の当然の行動原理です。12月1日の新聞によれば、米政府は当初の安い金利に当分据え置くことに決定したという。これは社会主義だ。
閑話休題1 サブプライムローン
20世紀初頭、GE社は年金信託システムを構築し今日にいたっている。問題の多い従業員と会社が拠出者となるシステムではなく、GE社のみが拠出するものであった。社会主義的発想である。
そしてファンドの運用により十分な利回りを獲得できた場合にはGE社は拠出の義務を免責された。ファンドの運用は順調で1987年以降GE社は拠出の義務を負っていない。年金の運用益がどうなっているのか、グリンピアに消えているのかよくわからない日本は参考とすべきであると思う。サブプライムローン問題も始めに社会主義的発想を取り込んでいれば、世界中が苦しむ事態にはならなかったと思う。貧乏人が高金利を負担できないことは解りきったことだからだ。米国は住宅建設良好と強い経済を謳歌していたが、輝かしい金融セクターから綻んだ。
資金会計原論 20.7 資金別損益計算書
緑 ⊿Gが赤字だとどうなるの?
父 ⊿Gが赤字でも、損益資金は過去の儲けが太って雪だるまになったものだから、1期の⊿Gの赤字が直ちに損益資金を食いつぶすとは限らない。金融機関の視点にたてば、クレジットクランチの状態で、金融引き締めの対象にはなるかもしれない。
緑 実質損益資金が赤字の状態を説明して、パパ?
木枯や自動販売機明々と
資金会計原論 20.8 資金別損益計算書
父 売上仕入資金は売上債権と仕入債務のバランスで、例えば両者のサイトが2ヶ月と仮定すれば、当然売掛債権の方が多くなり、売上仕入資金は赤字になる。業態や商売の力関係で売上仕入資金がプラスになることもある。社会診療報酬に頼る医療法人の2ヶ月サイトは甘受するしかない。現金売りの掛仕入のスーパーなどの売上仕入資金はプラスになる。商社のように過大な売掛サイトを提供することにより商圏の拡大維持をするところでは巨額の売上仕入資金赤字が発生する。
木枯の冷え夕刊にありにけり
資金会計原論 20.9 資金別損益計算書
緑 商社など実質損益資金の赤字が多いところは救われないの?
父 経営者は売掛サイトを長くすれば、資金的にバランスしなくなるのをしっている。だけど他社に先駆けて商圏を確保するために売掛サイトが月商の10ヶ月というような長期サイトを客先に提供する。当然、資金手当は別に考えてのことだ。
緑 それは理解できるけど、商社の実質損益資金は赤字となり、財務分析の視点からは良くない会社ということになるでしょう、パパ?
父 そうなんだよ、緑。
木枯の野を来し耳の火照りかな
資金会計原論 20.10 資金別損益計算書
父 アメリカには売買契約書の支払い条件に2/10/30とあれば2% discount within 10 days net 30 days ということで、10日以内にお支払下されば2%割引ますが遅くも30日以内にお支払下さい、30以後は売掛金ではなく債権扱いとなり、お支払くださった日までの利息をいただきます、という意味だそうです。金利感覚の鋭いアメリカと違い日本の商社は日本的感覚で、世界を相手に商売をしている。
緑 財務分析においても、世界的視点が必要な気がします。
やれここもブランド店か初時雨
資金会計原論 20.11 資金別損益計算書
父 そうなんだ、緑。通常の売掛サイトを月商の2or3ヶ月としてそれを超える売掛債権を投資にもっていったら、実質損益資金が黒字になった。それ以下の資金バランスが良ければ良い商社といえるだろう。
緑 粉飾で長い売掛サイトの会社の長期分の債権を投資にもっていったらどうなるの、パパ?
父 その前に粉飾かどうかの判断をしなければならないが、それをしないで投資にもっていき、実質損益資金が黒字になったとしても、もともと良くない会社は別なところに綻びがでる。Cashを欺くことはできない。
木枯の行方見下ろし食事かな
資金会計原論 21 決算利益と対比するCash利益
2007年12月9日14:34:13
資金会計原論 21 決算利益と対比するCash利益
緑 いよいよ資金会計の核心ね。わくわくするわ。
父 資金別貸借対照表が現金勘定で、2期の資金別貸借対照表を繋ぐ環が資金別損益計算書で、最下行が2期のCashを繋ぐ環であることの理解を前提に話を進めよう。
資金別損益計算書の最下行である当期Cash増減額が最終的なCash損益となるのだが、Cashの増減は増減資や借入や借入返済でも起こる。一例を挙げて説明すると借入金は未来収益の先取りだからCash利益になるのだが、決算利益と対比すべきものか考える。
携帯を見る人ばかり年暮るゝ
資金会計原論 21.1 決算利益と対比するCash利益
2007年12月10日17:17:00
資金会計原論 21.1 決算利益と対比するCash利益
緑 Cashの増減額は営業活動の成果ではないはね。
父 Cashの流れの中で決算利益と対比し得るものはオーナーズエクイティの増減額であると思う。
緑 オーナーのCashが増えた額がCash利益ということに異論はないわ、パパ。
父 緑の理解が得られ、百人力を得た気持ちだ。オーナーのCash の増減は真正損益資金を見れば解る。しかし真正損益資金は増減資後の姿で営業活動そのもののCash成果ではない。
摘み残すこと多きまゝ年惜しむ
資金会計原論 21.2 決算利益と対比するCash利益
2007年12月12日08:54:52
資金会計原論 21.2 決算利益と対比するCash利益
緑 増減資前のCashというと実質損益資金じゃない、パパ?
父 そうだ。「実質損益資金増減額=オーナーズエクイティ増減額」
なんだ。実質損益資金は損益資金という営業の成果に売り買いのサイト差に棚卸資産を加算した実質的な経営成果なのだ。実質的な営業活動の成果だが同時にオーナーズエクイティ増減額であるのはCash だからそういうことになる。Cash損益計算書は同時にCash増減額で終わるキャッシュフロー計算書でもあるのだ。だから実質損益資金が赤字になるということはオーナズエクイティが赤字額だけ減ったということで、大変なことなのだ。ここのところを十分に味わってくれ、緑。
安さより求めしは活気年の市
資金会計原論 21.3 決算利益と対比するCash利益
2007年12月13日06:57:34
資金会計原論 21.3 決算利益と対比するCash利益
緑 実質損益資金の赤字がそんなに大変なことと認識していませんでした、パパ。
父 ここでアソシエントテクノロジー(AT社)の2004年7月に終わる年度の当期利益は15,140万円であったが、実質損益資金は赤字で-19,865万円であった。2004年11月16日日刊工業新聞20面に粉飾を元に戻した記事がある。それによれば、
修正前 修正後 修正額
売上高 225,924 118,200 -107,724万円
当期利益 15,140 -18,300 -33,440万円
この修正額-33,440は資金会計のCash利益との差額35,005と近似である。
決算利益 15,140万円
実質損益資金増減額-19,865万円
差額 35,005万円
山茶花の高き籬のホテルかな
資金会計原論 21.4 決算利益と対比するCash利益
2007年12月14日06:52:08
資金会計原論 21.4 決算利益と対比するCash利益
緑 実質損益資金の重みを味わうことができました。
父 売上高は2倍近く膨れ上がり修正後の金額はほゞ前年の売上高117,958万円と同じであった。AT社の実質損益資金は連続赤字で最終期には-26,042万円で最終の2期に増資した額33,323万円を含む払込資本金等57,916万円の45%が消えてなくなっている。最終期だけの粉飾額-33,440万円にほゞ近い増資額は粉飾の穴埋め以外のなにものでもない。AT社の増資目論見書を見たことはないが、美味しい言葉がちりばめられていたと推測する。一般の投資家を欺いた罪は大きい。監査法人は資金会計理論で武装して欲しい。
静まれる真珠の入江石蕗の花
資金会計原論 21.5 決算利益と対比するCash利益
2007年12月17日09:48:01
資金会計原論 21.5 決算利益と対比するCash利益
緑 中央青山監査法人の幹部はAT社の粉飾を何故見抜けなかったかと慨嘆したと聞きました。AT社の粉飾は見事なものだったので仕方なかったとも思います。けどパパの話を聞いていると、AT社の財務諸表をCashの視点から見詰めなおすと異常点が多々あることが解りました。監査法人が資金会計理論で武装すれば、監査の重要なポイントが解り、効果的な監査ができるでしょう。
冬の静寂活きている飛行雲
資金会計原論 21.6 決算利益と対比するCash利益
2007年12月18日09:31:13
資金会計原論 21.6 決算利益と対比するCash利益
緑 AT社の資金会計視点でのコメントを纏めて下さい、パパ。
父 そうだね、大仕事かも知れないがやってみるか、緑。
2/07 3/07 4/07
売上高 100% 220% 422%
当期利益 4,882万円 10,791万円 15,140万円
実質損益資金 -4,057万円 -6,117万円 -26,042万円
日本のGDPが101%と言われているのに凄い利益の伸び方だ。IT企業だからこういうこともかるかという前提でCashを見てみよう。
実質損益資金が赤字と言うことは3期連続して払込資本金が欠落していることだ。殊に4/07期は払込資本金の45%が失われたのだから、輝かしい売上高や利益は幻というほかはない。事業の継続自体が自分で自分の首を絞めることになる。
ホットケーキバター溶けだす目覚かな
資金会計原論 21.7 決算利益と対比するCash利益
2007年12月19日08:54:30
資金会計原論 21.7 決算利益と対比するCash利益
緑 売上債権と仕入債務のサイトの関係が企業財務に与える影響をこれほど明確に示したものは今までないようね。
父 次に資金会計のFCFについて見てみよう。正味損益資金から払込資本金を差し引くと資金会計のFCFとなる。このFCFは財務取引によるキャッシュフロー前の資金状態である。
2/07 3/07 4/07
FCF -9,148 -13,527 -54、029
FCFは赤字が通常だ。なぜなら固定投資をした後の資金だからである。FCFは赤字でも、増えて(赤字が減って)いくことが望ましい。
風を描く絵筆となりて枯葉舞不ふ
資金会計原論 21.8 決算利益と対比するCash利益
2007年12月20日15:15:43
資金会計原論 21.8 決算利益と対比するCash利益
父 ところがFCFが赤字で且つ赤字が増えているのに、優良な企業がある。一例を挙げれば、トヨタ自動車である。トヨタは世界中の競合他社の一歩先を進むために活用できる経営資源を総動員してる。
単位:億円 4/03 増減 5/03 増減 6/03
固定投資 130,655 17,152 147,807 27,028 174,835
経営資源内訳
内部留保(実質損益資金) 9,656 11,792
資本金 591 843
長期借入金 8,116 12,537
短期借入金 1,928 6,512
その他流動資金 -5,648 -3,934
現金預金 2,509 -722
経営資源合計 17,152 27,028
内部留保(実質損益資金)とは過去の儲けの再投資額
ビルの角映せる池や枯はちす
資金会計原論 21.9 決算利益と対比するCash利益
2007年12月21日08:54:59
資金会計原論 21.9 決算利益と対比するCash利益
緑 トヨタの5/03期は経営資源として、過去の儲け、増えた資本金、長短借入金、手許の現金預金を総動員して固定投資17,152億円と金融債権が主なものであるその他流動資金5,648億円の合計22,800億円に投資したということね、パパ?
父 緑、その通りだよ。積極的な投資のためにFCFの赤字が増えたトヨタと同様にFCFの赤字が増えたAT社とどこが違うのかを考えよう、緑。
緑 トヨタは損益資金の上昇とともに実質損益資金が増えているのに、AT社は損益資金の伸びに逆行して実質損益資金の赤字が増えているからかしら?
父 よくポイントを見抜いたね、緑。実質損益資金が赤字ということは、過去の儲け(内部留保)がなくなり、払込資本金がその赤字額だけ欠落していることだから、一発逆転を狙った投資かもしれないが、既に空いている大穴を埋めるのは容易いことではないんだ。
落葉踏む豊かに沈む大地かな
資金会計原論 21.10 決算利益と対比するCash利益
2007年12月25日08:51:10
資金会計原論 21.10 決算利益と対比するCash利益
父 FCFの相によってFCFに続く資本や借入といった財務取引の姿が違ってくる。正味損益資金について考えよう正味損益資金は国家予算の編成の際に話題となるプライマリバランスを示している。企業においてもプライマリバランスは大切なんだ。このプライマリバランスを示すことができるのは資金会計のニュー資金別貸借対照表をおいて他にない。
緑 アソシエントテクノロジー社の正味損益資金を例にプライマリバランスを説明して、パパ?
銀杏黄葉夜は白き切紙細工
資金会計原論 21.11 決算利益と対比するCash利益
2007年12月26日09:00:12
資金会計原論 21.11 決算利益と対比するCash利益
父 AT社プライマリバランス(PB)は
2/07 3/07 4/07
正味損益資金 15,425万円 40,289万円 3,887万円
AT社のPBは4/07期に悪化しているが、3期とも黒字を示している。黒字を続けることができたのは増資をしたためだ。増資で得た資金でも借入金の返済はできる。増資がなかったと仮定すれば、12月19日の21.7で示したFCFのように、
2/07 3/07 4/07
FCF -9,148 -13,527 -54、029
資金状態は悪く増資で資金繰りを賄っていることが解る。PBがとれているかどうかは正味損益資金が増えたかどうかにかかっている。
AT社の4/07期の正味損益資金の減少額は-36,402万円で前期の増資額29,223万円も焼け石に水で、4/07期には長短借入金21,535万円をしなければならなかった。PBはマイナスで返済どころではなく火の車であった。
あちこちに口付けの影クリスマス
資金会計原論 21.12 決算利益と対比するCash利益
2007年12月27日09:09:40
資金会計原論 21.12 決算利益と対比するCash利益
緑 トヨタのPBを説明して、パパ。
父
4/03 5/03 6/03
正味損益資金 -38,476億円 -45,381億円 -59,774億円
トヨタのPBはどんどん悪化している。危険な悪化かどうか検証してみよう。トヨタは経営資源を総動員して固定投資に当てている。
4/03 5/03 6/03
長短借入金 76,275億円 86,319億円 105,368億円
その結果長短借入金も増加している。不安はないのだろうか。
実質損益資金は増え続け払込資本金の約7倍の100.241億円あり、自己資本は115,061億円ある。借入金は105,368億円だから財務レバレッジは2以下で、極めて健全である。借入金を10年で返済すると仮定すると1年間の返済額は10,536億円で減価償却額13,722億円以下で問題はない。積極経営ができる背景を見ることができる。
マスクして互に語る眼かな
資金会計原論 21.13 決算利益と対比するCash利益
2007年12月28日09:09:19
資金会計原論 21.13 決算利益と対比するCash利益
緑 減価償却のCashに与える影響について説明して、パパ。
父 今年の最期の話題としよう。減価償却資産の購入は未来費用の前払いであり、借入金は将来の収益の先取りということを頭に入れておいてほしい。下表は1,000万円で購入した10年償却の機械と10年均等返済の借入金を前提としたモデルである。
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費用
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収益
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Cash
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借入金返済
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減価償却額
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に与える
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借入金額
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(前受け収益)
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前払費用
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影響
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Case 1
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1,000
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100
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100
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0
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Case 2
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500
|
50
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100
|
50
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Case 3
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2,000
|
200
|
100
|
-100
|
減価償却額を元に戻す仕訳は:
機械(固定資金)100減価償却費(損益資金)100
である。その結果実質損益資金が100増加する。実質損益資金増加額は制度会計の当期利益に対応するオーナーズエクイティの増えたCashである。借入金返済として流出したと想定される額が減価償却額の範囲内ならば、一応安泰ということができる。Case3はCashに与える影響があるので、実質損益資金が100以上増えていない場合は慎重を要する。
間接法によるキャッシュフロー計算書は営業活動によるキャッシュフローに減価償却額を加算するので、減価償却額はCashを産む魔法よように思われる方もいるが、最下段のCashはB/SのCashのままで増えていない。その調整は投資活動によるキャッシュフローの固定資産の取得による支出額においてなされている。資金会計では損益資金と固定資金とのいりくりなので減価償却費は費用と認識している。しかし借入金返済額の妥当性をみるために上記のアプローチは有効である。減価償却は会計学上の最大の発明で、制度会計においても、資金会計においても、悩ましいところである。
今年の緑の進歩には驚いたよ。来年は緑の意見をたくさん聞こうと思う。ではお休み、緑。
大晦日妻に漂う歴史かな