2008年02月 
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
242526272829 
プロフィール

奥井 英作

≫ 詳細プロフィール

資金会計原論 22.16資金別の意味を探る

2008年2月1日08:48:26

資金会計原論 22.16資金別の意味を探る
父 その通りだ、緑。だから財務分析には対象業種に関しての知識が要求されると思う。上級監査人は資金会計で監査のポイントを絞り込み部下の仕事を管理して欲しい。売上債権がCashで回収されてはじめて、売上を手にしたことになる。神道に一霊四魂ということがあると聞いた。四魂とは荒魂(あらみたま)、和魂(にぎみたま)、幸魂(さちみたま)、奇魂(くしみたま)だそうである。資金会計の一霊は損益資金から現金預金に至るCashの流れであり、四魂は損益資金、実質損益資金、正味損益資金、現金預金であると思う。上級監査人は実質損益資金を赤字にする損益資金より大きい「売上仕入資金+棚卸資産」の吟味を慎重にしていただきた。
         座して見る蓑まとひたる寒牡丹 

資金会計原論 22.17資金別の意味を探る

2008年2月4日08:54:20

資金会計原論 22.17資金別の意味を探る
緑 そろそろ幸魂の出番かしら?
父 そう、正味損益資金の話をしよう。損益資金から現金預金に至るCashの流れのなかで、3番目にくる重要なものだ。一般の事業会社の正味損益資金は、無借金会社等や多額の増資をしてその資金を未使用である会社の例外を除いて、赤字であることが多い。ただし予算で管理される公会計、学校法人等の正味損益資金は黒字が通常で赤字の場合はプライマリバランスの崩れを意味し重大なことである。
        奪ひあふ伸びくる日脚座敷犬

資金会計原論 22.18資金別の意味を探る

2008年2月5日07:02:28

資金会計原論 22.18資金別の意味を探る
緑 正味損益資金は自己資金だけで固定投資を賄った残りのCashだから、正味損益資金が増えることは資金成長を意味しCEOは責任の一つを果たしたことになるのでしょう、パパ?
父 CEOの責任を評価するには⊿Gがプラスか(損益資金が増えたか)、オーナズエクイティが増えたか(実質損益資金が増えたか)、資金的成長をしたか(正味損益資金が増えたか)、借入金の約定返済額は減価償却額の範囲内であったかを検証する必要がある。
        メトロ出る一仕事あり日短

資金会計原論 22.19資金別の意味を探る

2008年2月6日08:51:38

資金会計原論 22.19資金別の意味を探る
緑 CEOの責任の設定と解除という大きな領域に入ってきたわね。
父 CEOを拝命するということは、財務的には昨日述べた4つの責任が設定されたということだ。⊿Gを増やすことはCEOの責任という以前に⊿Gが増えることは資本主義の大前提であり、会社はその大前提を達成するために、設立された筈だ。CEOはオーナズエクイティを増やすために株主(オーナ)から経営の委任を受ける。CEOは一人で委任された任務を遂行できないので、副社長、専務、常務等に委任された業務を細分化して委任していく。この委任は下部のマネジャー達まで連続する。実際に委任状を書くか書かないかは問題ではなく。株主からの委任の連続で会社は成り立っている。
        老たれば三寒四温玉と抱き

資金会計原論 22.20資金別の意味を探る

2008年2月7日08:48:56

資金会計原論 22.20資金別の意味を探る
緑 実質損益資金を増やす責任のことを話して、パパ。
父 ⊿Gがいかに増えても売掛サイトと在庫が足枷となって資金化が遅れれば絵に描いた餅になってしまう。営業活動の成果はCashを握ったときに実現する。それが実質損益資金の増加となって現れる。オーナーズエクイティの増加は真正損益資金に現れるのだが、真性損益資金は増減資があっても増減するので、増減資前の実質損益資金の増えた額が営業活動の成果であると同時にオーナーズエクイティの増えた額であるので、実質損益資金の増えた額は制度会計の当期利益に対するCash利益として重要な指標である。
        冬晴やビルの並べる地平線

資金会計原論 22.21資金別の意味を探る

2008年2月8日08:53:39

資金会計原論 22.21資金別の意味を探る
緑 いよいよ今週のメインテーマ正味損益資金の増加額がCEO評価に係わるくだりを説明して。
父 CEOは現有設備を維持更新し、将来の⊿G獲得のため新規投資をし、老朽化した設備や不要となった設備を除却しなければならない。これは営業活動に比肩する重要なしごとである。そして金のかかる財務活動でもあるので、時に企業の将来を危うくすることもある。その固定投資を済ませた正味損益資金が増減資する前の姿で増加していれば、資金的成長を果たしたことになり、目出度し目出度しである。CEOの責務は大変重い。
        友逝けり星冴ゆる街ひたひたと 

資金会計原論 22.22資金別の意味を探る

2008年2月12日07:46:58

資金会計原論 22.22資金別の意味を探る
緑 CEOの責任の最後の一つ借入金の返済が減価償却費の範囲内かが残っているわね。
父 そう。その話に進む前に正味損益資金の姿を見詰めなおしてみよう。以下は原則論である。2期の正味損益資金の差額が赤字の場合は借入金が増える。±0の場合はプライマリバランスが取れている。黒字の場合は借入金を減らすことができる。一概にどれが良いと言うことはできない。赤字で借入金が増えている場合でも積極経営の場合は良い。積極経営で赤字が増えたのか、経営の失敗で赤字が増えたのかを見分ける目をもたなければならない。一応黒字の場合は資金的成長を果たし祝着ということができる。正味損益資金の増減は我々が注目すべき項目である。
        膝求め犬寄りきたる余寒かな

資金会計原論 22.23資金別の意味を探る

2008年2月13日09:13:06

資金会計原論 22.23資金別の意味を探る
父 CEOの最期の責任に話を進めよう。
緑 これは今まで聞いたことのない話ね。
父 この命題に資金会計の真骨頂を見る気がする。ノーベル経済学賞をもらったModiglianiとMiller両氏の頭文字をとってMM Propositionというものがある。これは企業価値論であるが会計は企業価値論の影響を受けている。資金調達額が共に10,000であるA,Bの2社がある。A社は有利子負債がなく、B社は株主資本と有利子負債が半々である。A,B両社とも営業利益2,000をあげたが、税引前利益はA社は2,000、B社は支払利息500を差し引き1,500であった。実効税率40%ととして税引後の利益はA社は1,200、B社は900であった。企業価値(支払利息+利益)はA社は1,200、B社は1,400となる。
        寒さ残ると言ふ人きたり揃ひけり

資金会計原論 22.24資金別の意味を探る

2008年2月14日08:07:52

資金会計原論 22.24資金別の意味を探る
緑 ここでMM Propositionが登場するのね。
父 そう。「有利子負債がある企業の企業価値は、無借金企業の企業価値より負債利子の節税効果分だけ高くなる」というMM理論が生まれるのだ。この理論より極論を言えば資金調達額が全額有利子負債の場合の企業価値が一番高いことになる、但しリスクは大変高くなる。残念ながら最適資本構成を提案する有利子負債と株主資本との普遍的割合を提供するものは存在しない。
        梳かしてもおったつ毛ある余寒かな

資金会計原論 22.25資金別の意味を探る

2008年2月15日08:01:17

資金会計原論 22.25資金別の意味を探る
緑 資金会計はここで何を提供できるのかしら?
父 デュポン等式を思い出して欲しい。
  ROA(利益/総資産)×財務レバレッジ(総資産/自己資本)=ROE(利益/自己資本)
ROEを高くすることが企業の目標の一つかもしれないが、財務レバレッジ(有利子負債割合)が大きくなればなればなるほどROEは大きくなる。このようにリスクを一杯孕む大きなROEを受け入れられるのだろうか。MM理論と同じ帰結となる。しかしここで、打つ手はないものか。
        ニューハーフ座に一人をり春寒し

資金会計原論 22.26資金別の意味を探る

2008年2月18日09:56:54

資金会計原論 22.26資金別の意味を探る
緑 有利子負債が多くなればなるほどROEが大きくなり、そして企業価値も高くなる。しかしこれは企業にとってリスクが高くなることで、歯止めが必要となるのじゃない?
父 証券業界ではよくROEを取り上げるが、リスクについてのコメントをあまり聞かない。
投資家に対してもう少しこのリスクについて説明すべきだと思う。しかし比率分析の世界にはいままで一つの歯止めが語られていた。アメリカでは負債比率(負債/自己資本)は100%以下でなければならないとされている。
緑 負債比率を財務レバレッジ(総資産/自己資本)に読み替えると
  負債比率100%=財務レバレッジ2
ということかしら?
          鎌倉の家々の梅競い咲く

資金会計原論 22.27資金別の意味を探る

2008年2月19日08:55:55

資金会計原論 22.27資金別の意味を探る
父 その通り。一応色んな企業の財務レバッレジを検討してみたが、財務レバッレジ2以下のROEはその値を素直に受け取ってもよさそうである。しかし各企業ごとの適正な有利子負債の額がないものかと模索した結果一つの結論を得た。それは資金会計だからこそなし得たものである。この課題を解くために一つの前提が必要になる。企業の長期と短期の借入金合計は10年で返済するという前提である。外部の分析者にとってはこの前提で推論を進めることができる。
緑 10年返済という仮定はおおむね妥当と認められている仮定と聞いています。
       若き日の夢さまよえる早春賦

資金会計原論 22.28資金別の意味を探る

2008年2月21日10:25:02

資金会計原論 22.28資金別の意味を探る
父 10年で償却する機械を1千万円で買った。1年の償却額は1百万円である。1百万円の減価償却費はCashの流出を伴わない費用である。10年で返済する長短借入金が1千万円あれば1年の返済額は1百万円であり、1百万円の費用(この説明は後にまわす)が発生する。Cash の流出を伴わない費用(減価償却費)を吸収後の実質損益資金増加額(当期利益)が1百万円あったとすれば、借入金返済というCash の支出を伴う費用を負担しても1百万円の実質損益資金増加額(当期利益)は変わらない。借入金返済額が減価償却費の範囲内に納まり当期利益があれば長短期借入金額はその企業にとって妥当な額であったということができる。
緑 解ったような解らないような気がするけど。
       自動ドア開くや余寒の偲びくる

Excuse

2008年2月25日11:47:51

Excuse

残念ながら休載してしまいました。確定申告のためです。


資金会計原論 22.29資金別の意味を探る

2008年2月26日08:52:04

資金会計原論 22.29資金別の意味を探る

父 無理もないよ、緑。前日の説明は実質損益資金増加額で説明したが、制度会計の利益と置き換えても読むことができると思う。資金会計の視点からは、制度会計の利益に対比される資金会計のCash利益は実質損益資金の増えた額だから、そして実質損益資金の増えた額は減価償却後の額なので、実質損益資金の増えた額には更に減価償却費相当額の隠れたCash利益があると読み替えて欲しい。

緑 実質損益資金の増えた額があり、借入金返済額が減価償却費の範囲内であれば、借入金の額は妥当なものだったと言うことね。

        帰りきし都春灯の地平線

資金会計原論 22.30資金別の意味を探る

2008年2月27日08:54:53

資金会計原論 22.30資金別の意味を探る
父 借入金のない会社の場合は疑問の余地がない。減価償却額のない企業の場合はそれぞれの企業単位で考えるほかはない。借入額の妥当性を計る基準として長短借入金の10分の1が減価償却額の範囲内かどうかは役に立つものと思う。返済額が減価償却額以上の場合、その超過額が当期利益(資金会計の場合は実質損益資金の増えた額)より少ないことが求められる。当期利益に食い込む返済額があることは金融機関がステークホールダーの一員として、債権確保のため経営に口を挟むことになるかもしれない。
緑 経営者は大変ね。
        春光やビル凸凹の地平線

資金会計原論 23 返済が費用であったらいいなあ

2008年2月29日10:56:31

資金会計原論 23  返済が費用であったらいいなあ

 これから使用する一表を載せます。
 京セラ  

 資金別

損益計算書

 

 (単位:億円)

 3/03

 費用

 収益

 4/03

 損益資金

 8,842

 

 821

9,663 

 売上仕入資金

 -1,171

 135

 

 -1,306

 棚卸資産

 -1,832

 140

 

 -1,972

 資本金等

 3,449

 139

 

 3,310

 固定投資

 -8,029

 

 94

 -7,935

 長期借入金等

 969

 

 246

 1,215

 短期借入金

 1,079

 231

 

 848

 その他

241

 

 453

-212 

 現金預金

 3,548

63 

 

 3,611

合計

 

1,161

 1,161