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奥井 英作

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資金会計原論 23.1 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月3日06:45:29

資金会計原論 23.1  返済が費用であったらいいなあ
緑 経営者の呟きがタイトルね。佐藤先生は、借入金返済額は費用とおっしゃるのね。
父 「実質損益資金の増えた額があり、借入金返済額が減価償却費の範囲内であれば、借入金の額は妥当なものだったと言うことね。」と言った緑の言葉を確信するのには、借入金返済額が費用であることを納得しなくてはならない。特に日々資金繰りに頭を悩ます中小企業経営者にとっては支払利息と返済額の区別より、今月の金融機関への支払額は「なんぼ?」で頭は回転している。換言すれば、支払利息と返済額合計が営業経費なんだ。
               隅田川春は名のみの風寒し

資金会計原論 23.2 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月4日08:45:36

資金会計原論 23.2  返済が費用であったらいいなあ
緑 資金別損益計算書の話にはいるの、パパ?
父 2期の資金別貸借対照表やニュー資金別貸借対照表の間に増減欄があるね、それが資金別損益計算書なんだ。
緑 資金会計に長く親しんだ人でも、資金別損益計算書の話はあまり聞いていないんじゃない?
父 そう思う。増減欄の黒字を収益、赤字を費用とし、その差額が現金預金増減額でその期のCashの損益となり、前期の現金預金残高に加減されて次期現金預金となる。最下行(Bottom line)の現金預金増減額が2期の(ニュー)資金別貸借対照表を繋ぐ環となる。佐藤先生は常に資金会計は継続事業を前提としていると言われていたが、(ニュー)資金別貸借対照表――(ニュー)資金別損益計算亜書――(ニュー)資金別貸借対照表の連環をイメージされていたと思う。
        身を寄せて梅は相応し老の伴

資金会計原論 23.3 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月5日08:04:26

資金会計原論 23.3  返済が費用であったらいいなあ
緑 動態論の2期の貸借対照表を繋ぐ環は損益計算書でしょう、パパ?
父 そう。だけど最下行を利益とすると環を形成しない。未処分利益とすれば動態論の環が形成される。
緑 資金会計の連結環がCashであることは解ったけど、2期の間の増減額が損益計算書のアイテムとは程遠いのじゃない?
父 2月29日に載せた京セラの表を見ると緑の言うとおり資金会計の損益計算書は損益計算書項目とは程遠いものなのだ。
        梅林の隣税務署人あふれ

資金会計原論 23.4 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月6日10:18:45

資金会計原論 23.4  返済が費用であったらいいなあ 
父 2月29日掲載の京セラの表をみてごらん。長期借入金が246億円増えているね、そして短期借入金が231億円減っているね。我々は外部のものだから収益246億円、費用231億円としているが、長期借入金の増えた額は返済額と新規借入額とを相殺して246億円増えたことを意味している。短期借入金は返済額と新規借入額とを相殺して231億円減少したと表現されている。内部の資料で返済額と新規借入額とを把握できる立場の人は両建てで表現するほうが解り易いこともあると思う。
緑 返済額と新規借入額とが解るほうがどんな実益があるのか教えて、パパ?
         老農の節くれだちし梅の枝

資金会計原論 23.5 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月7日09:03:02

資金会計原論 23.5  返済が費用であったらいいなあ
父 佐藤先生は借入金は未来の収益の先取りである、と言われた。返済は未来収益からの返済で費用である。固定資産の購入は未来経費の先払いであると言われた。減価償却によって回収される。減価償却によって回収されない土地や投資のある部分は一概に割り切ることはできないが、自己資金で賄うのが堅実である。売掛金は未実現の売上であり費用である。買掛金は未実現の仕入であり収益である。棚卸資産は販売されてはいないが実現した費用である。京セラの利益は681億円であったが、現金預金は63億円しか増えていない。その理由をこの資金別損益計算書は説明することができる。
緑 これは凄いことね、パパ。
         蒼穹や剪定された梅満開

資金会計原論 23.6 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月10日08:11:21

資金会計原論 23.6  返済が費用であったらいいなあ
緑 京セラの資金別損益計算書を説明して、パパ?
父 2003年3月期の損益資金(内部留保額)8,842億円に対して2004年3月期は821億円損益資金が増加した、即ち内部留保の増加率(雪だるま率)は9.3%であった。順調である。その内未実現の売上は275億円(売上仕入資金+棚卸資産)を控除すると、546億円が実質損益資金として残る。順調である。資本金等が139億円減少したが、これは株主への貢献としてよいと思う。固定投資が94億円減少している、これは新規投資と「減価償却額+固定資産除却売却額」との差額であり、堅実である。長期借入金が245億円増えているが、これは短期借入金が231億円減少したので、短期借入金の長期借入金へのシフトと考えられ、堅実である。その他費用453億円は修正安定資金の増加額516億円の一部を有価証券等に運用したもので、余裕と見ることができる。現金預金は月商の3.8ヶ月分の残高があり、余裕と見ることができる。
         京都盆地や春雷のありどころ 

資金会計原論 23.7 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月11日08:08:18

資金会計原論 23.7  返済が費用であったらいいなあ
緑 681億円の利益に対して現金預金が63億円しか増えなかった理由は解りました。京セラは堅実な経営の結果、現金預金の増加額は利益より少なかったが余裕ある月商の3.8ヶ月分の現金預金3,611億円を残したのだから、立派なものね。制度会計の損益計算書の比較からでは見えないものが資金会計では見えるのね。
父 緑は返済額と新規借入額とが解るほうがどんな実益があるのか教えて、といったけど、その質問にまだ、答えてないね。
緑 そう、借入金の返済額と新規借入額は相殺されて資金別損益計算書の収益側か費用側に数字が現れるけれど、返済額と新規借入額を把握できる場合には両建てにしたはうが解りやすいという話ね、パパ。
         朧なる記憶の先の母若し

資金会計原論 23.8 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月12日09:05:06

資金会計原論 23.8  返済が費用であったらいいなあ
父 減価償却の話のところで、長短借入金合計額を返済期間10年と仮定して10で割り、1年分の返済額が減価償却額の範囲内ならば、妥当な借入額と判断できるという話をしたね、憶えているかい、緑。
緑 はい、憶えています。仮定の年間返済額ではなく、実際の返済額が見られるということね。
父 そしてその期の新規借入額が解り、ファイナンスの実体が見えてくるんだ。
          卒業やフラッシュ沸き立つそこかしこ

資金会計原論 23.9 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月13日09:13:56

資金会計原論 23.9  返済が費用であったらいいなあ
父 資金別損益計算書は制度会計の損益計算書が損益勘定から構成されるのに対して、貸借対照表項目から構成されている。粉飾や逆粉飾は損益勘定だけですることは稀である。粉飾や逆粉飾の相手勘定は貸借対照表勘定であることが多い。
緑 損益勘定の中身は勘定分析で内容を把握することはできるが、資産負債のような実体がないという側面があるのね。
父 そうだ。そのように監査の技術的側面より見ることもできるが、(ニュー)資金別貸借対照表はそれ自体が現金勘定だという話をしたね。(ニュー)資金別貸借対照表にはさまれた(ニュー)資金別損益計算書も現金勘定なんだ。Cashに支持されたこれらの表に損益計算書でなされた(逆)粉飾の歪が現れてしまうのだ。
         明治屋を出る身ごもりし春の人

資金会計原論 23.10 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月14日10:14:05

資金会計原論 23.10  返済が費用であったらいいなあ
緑 Cashは嘘をつかないということね。ここでAT社資金別損益計算書を載せるの?

 アソシエントテクノロジー  

 資金別

損益計算書

 

 (単位:万円)

 3/07

 費用

 収益

 4/07

 損益資金

 20,767

 

12,034 

32,801

 売上仕入資金

 -26,166

 25,965

 

 -52,131

 棚卸資産

 -778

 5,934

 

 -6,712

 資本金等

 53,816

 

4,100

 57,916

 固定投資

 -7,350

20,637

 

 -27,987

 長期借入金等

 737

 

 26,535

 27,272

 短期借入金

 8,000

 5,000

 

 3,000

 その他

4,914 

 

 572

5,486 

 現金預金

 53,940

 

14,295 

 39,645

合計

 

57,536

 57,536

 

 

 


AT資金別損益計算書グラフ

2008年3月16日14:56:49

AT社資金別損益資金

資金会計原論 23.11 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月17日09:18:27

資金会計原論 23.11 返済が費用であったらいいなあ
緑 京セラの資金別損益計算書は良い例だったけど、今度は問題のアソシエントテクノロジー社が取り上げられるのね。
父 損益資金が12,034万円増えている。これは前期の損益資金(創業から前期末までの内部留保額)が20,767万円だから今期の雪だるま率は58%と極めて好業績である。しかし売上仕入資金の悪化額(売掛サイトの増加額)は25,965万円で前残が26,166万円なので99%の悪化である。そしてその赤字は損益資金増加額12,034万円の2.2倍もある。ということは売上は計上されたが未実現の売上が25,965万円あり、しかも蓄積された内部留保を13,931万円(25,965-12034)食いつぶしていることで、最早ビジネスではない。今期末のニュー資金別貸借対照表の損益資金は32,801万円で売上仕入資金が売掛債権超過で-52,131なので、結果として払込資本金はその差額19,330万円だけ欠け込んだことになる。ニュー資金別貸借対照表に継続損益資金-9,330万円として表われている。
                 卒業の和装の娘等の姿勢よし

資金会計原論 23.12 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月18日08:53:38

資金会計原論 23.12 返済が費用であったらいいなあ
緑 販売されてはいないが費用はすでに実現している棚卸資産5,934万円が赤字の継続損益資金を更に悪化させているわね。
父 佐藤先生が貸借対照表の現金預金以外の借方勘定はすべて原価だと言われたことを思い出す。損益資金に売上仕入資金を加減し、棚卸資産を差し引いた金額が実質損益資金となる。何故「実質」と言うかというと、いくら損益資金が大きくても、実質損益資金が赤字になったりすると、損益資金は見せかけの利益でCash視点では損益資金で画いた果実は幻で、食べられないことになる。
         蛤の覗く世界に我は居る

資金会計原論 23.13 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月19日08:48:51

資金会計原論 23.13 返済が費用であったらいいなあ
緑 長い売掛サイトを武器に商戦を展開する商社の長期売掛債権は投資的意味合いがあり、実質損益資金の赤字は短期借入金でバランスをとっている。このような例外を除いて実質損益資金の赤字は危険信号なんでしょう、パパ?
父 そうなんだよ、緑。3期連続して赤字の場合は次期あたりに破綻する企業が多い。特に危険なのは粉飾をしている場合だ。一度粉飾をすると次期は粉飾であいた穴を糊塗するために粉飾は拡大する。そのために実質損益資金の赤字は拡大する。そして破綻する。いくら売上が増え、利益が増えてもCashが実現しなければ、死は近い。レントゲンやMRIのように病巣をまざまざと見せるのがニュー資金別貸借対照表なのだ。
          春分や心広ごる宇宙へと

資金会計原論 23.14 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月20日20:31:37

資金会計原論 23.14 返済が費用であったらいいなあ

AT社資金別損益計算書2

 今までの説明をこのグラフを見ながら考えて下さい。


資金会計原論 23.15 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月24日06:56:52

資金会計原論 23.15 返済が費用であったらいいなあ
緑 実質損益資金以下の資金別損益計算書の説明をお願いします。
父 通常のビジネスであれば、損益資金が売上仕入資金と棚卸資産とを賄って黒字が残る。しかしAT社の場合「損益資金―売上仕入資金―棚卸資産」=-19,865万円と大幅な赤字となっている。本来「資本金+長期借入金」=30,635万円の収益はまるまる固定投資(20,637万円)に当てることができるのに、実質損益資金の赤字-19,865万円の補填に使用されたので、「資本金+長期借入金」30,635万円のうち実質損益資金の赤字-19,865万円を差し引いた10,770万円しか固定投資に使用できなかった。固定投資に当てるべき不足収益は前期に増資をして未使用のまま繰越された現金預金で賄われた。  
          薄氷の雪飛ぶ湖面富士写す

資金会計原論 23.16 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月25日08:11:33

資金会計原論 23.16 返済が費用であったらいいなあ
緑 AT社のアンバランスは現金預金が損益資金より大きいことね。
父 そうだ、よいところに気がついたね。これは資金別貸借対照表の話だが、佐藤先生は損益資金額が現金預金として残るのが理想だ。と言われた。無借金の任天堂などはほぼそれに近い理想を実現している。しかし実質損益資金が赤字の企業で現金預金が損益資金より大きいのは異常だ。多分損益資金額が小さすぎるのか、売掛債権や棚卸資産が次期の資金繰りに貢献できないので現生に頼るほかはないのかのいずれかであろう。
Blogの左側をスクロルダウンするとホームページを開くところがある、そこをクリックし、資金バランスをクッリクするとGE社の資金別貸借対照表の資金バランスをみることができる。損益資金が優位を占めていることがわかると思う。資金別損益計算書の資金バランスグラフでも良い会社は損益資金が優位を占めている。
          機体消え春燈残る星となり

資金会計原論 23.17 返済が費用であったらいいなあ

2008年3月26日09:04:14

資金会計原論 23.17 返済が費用であったらいいなあ
緑 AT社の資金別損益計算書グラフから、本来損益資金でカバーすべき売上仕入資金と棚卸資産が損益資金の2.7倍もあり実質損益資金の赤字を大幅に拡大しているのが、一目で解るわね。
父 そう、その差額19,865万円が払込資本金の欠け込みとなり債務超過へと前進している。
AT社は破綻して計49,640万円の粉飾があきらかになったが、AT社の財務分析をすると大変良い指標がでる。それは2003年と2004年に計33,323万円の増資をしたために良い分析指標がでてしまったと考えられる。資金会計では増資という色眼鏡を外して財務を見ることができるようになっている。
           白酒を卒業せしと娘等の意気 

資金会計原論 24 正味損益資金の評価

2008年3月27日08:49:26

資金会計原論 24 正味損益資金の評価
緑 実質損益資金に次いで重要な正味損益資金について説明して、パパ?
父  正味損益資金は自己資金だけで固定投資をした後にどれだけの資金が残っているか見るものなのだ。無借金か無借金に近い企業を除いてほとんどの企業の正味損益資金は赤字である。赤字でよいのだが、赤字が減っていくのが望ましい。しかし良い会社でも赤字が増えることがある。積極経営に舵をきったときである。正味損益資金は資金成長を診る物差だから、偏倚を与えるものを外す必要がある。京セラとアソシエントテクノロジー社と京セラを対比しながら見ていくことにしよう。
         夜の帳江の島隠す白子かな

資金会計原論 24。1 正味損益資金の評価

2008年3月28日08:02:53

資金会計原論 24。1 正味損益資金の評価
緑 京セラの正味損益資金の評価を説明して?
父 京セラの実質損益資金は損益資金の66%ある。損益資金の増加率(雪だるま率)9.3%に対して実質損益資金の増加率は9.4%と同調している。実質損益資金の増加はオーナーズエクイティの増加となる。そして資金成長の根幹をなすものだ。払込資本金の変動が正味損益資金の増減の一因となり、それは営業努力と関係がないので、増減資前の正味損益資金を示し、企業の実力としての資金成長が解るようにした。京セラの払込資本金勘案前の資金成長額は640億円でその内訳は実質損益資金増加額546億円と固定投資減少額94億円である。減価償却額が703億円あったので、それに近い新規投資、維持更新費用、評価増減があり、固定投資額は94億円減少した。このことから資金成長のためには実質損益資金を稼ぎ出すことがいかに大切であるかが解る。この当たり前のことを数字で示すことができるのが資金会計だ。京セラの払込資本金勘案前の正味損益資金は順調に増加(赤字は減少)している。
         宇宙との交信を聞く桜餅

資金会計原論 24。3 正味損益資金の評価

2008年3月28日18:06:11

資金会計原論 24。3 正味損益資金の評価
3月27日から正味損益資金の評価の話になっていましたが、京セラの「払込資本金勘案前の正味損益資金」の表を載せることをしないで、話を進めましたので、混乱されたと思います。この表を味わって、3月27日から読み直して下さるようお願いします。
kyousera


AT社正味損益資金の評価

2008年3月29日14:54:23

AT

資金会計原論 24。3 正味損益資金の評価

2008年3月31日08:55:07

資金会計原論 24。3 正味損益資金の評価
緑 払込資本金勘案前の正味損益資金の赤字額は-1,550億円の赤字だけど、払込資本金は3,310億円なので、正味損益資金は黒字です。それなのになくてもすむ借入金2,063万円がある。それは余裕ある現金預金3,611億円を残すためのものと思われるんだけど?
父 私もそう思う。(実質損益資金+資本金)と借入金の大きさを比較してみると一目で借入金の方が小さいことが解る。ということは財務レバレッジが2以下で、健全なバランスを示している。参考までに資金別貸借対照表で計算した財務レバレッジは1.3であった。我々が財務レバレッジにこだわるなは、ROA×財務レバッレジ=ROEで、ROEに目を奪われると判断を誤るからだ。借入金の割合が大きくなればROEは良くなる。しかし借入金の返済は損益計算書に費用として現れないが、資金別損益計算書から解るように借入金返済は費用であるからだ。借入金返済額が企業の実力を超えると、ROEがいくらよくても、その企業には暗雲が立ちはだかるのだ。京セラのROEは12.1%で健全且つ良好である。
9.0%(ROA)×1.3(財務レバレッジ)=12.1%(ROE)がその算式である。
          花篝照り翳るのは一人だけ