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奥井 英作

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資金会計原論 24。4 正味損益資金の評価

4月1日08:06:55

資金会計原論 24。4 正味損益資金の評価
緑 アソシエントテクノロジー(AT社)の正味損益資金を評価して、パパ? 財務諸表を見る限り素晴らしい会社だけど。
父 ニュー資金別貸借対照表を見る目があれば、AT社の異常はすぐ見抜けると思うが、添付した正味損益資金の評価の表をみれば、劣悪な裏事情が丸見えとなる。損益資金は順調に伸びているが、これは絵に書いた餅で、実質損益資金は大幅な赤字です。資金別損益計算書を見ると売上仕入資金と棚卸資産との赤字が、増えた損益資金の2.7倍にもなっている。正常のビジネス感覚ではない。粉飾と粉飾の穴埋めとしか考えられない。実質損益資金の赤字は払込資本金の欠落となっているんだ。
            幼子の気になる春の愁い顔

資金会計原論 24。4 正味損益資金の評価

4月2日09:04:11

資金会計原論 24。4 正味損益資金の評価
緑 払込資本金が欠け込んだ状態で、払込資本金勘案前正味損益資金の赤字は急上昇している。積極姿勢の優良企業の姿が見えるんだけど、パパ?
父 こんなことは実質損益資金の赤字が急増している会社で起こることではない。損益資金の急増は粉飾のなせる技としか言いようがない。払込資本金勘案前正味損益資金の赤字は借入金21,535万円と前年に増資して未使用のまま今期に繰越された現金預金14,295万円と今期増資額4,100万円との合計額18,395万円で賄われた。AT社の罪深いところは金融のプロである銀行ではなく、一般投資家を騙したことである。AT社は前期と今期で計33,323万円の増資が行われたので、財務レバレッジは悪化していない。増資により一見良い財務分析数値に騙される結果となり、破綻するまで粉飾に気付くことはなかった。ここにCashは嘘をつかない資金会計が輝いてくる。
        春愁の男手料理妻の留守


資金会計原論 25 10年間を振り返る

4月3日08:12:35

資金会計原論 25 10年間を振り返る
緑 10年一昔というけど、振り返り君でGE社の10年を振り返った感想を聞かせて?
父 将来の財務計画を建てるのに社歴のある会社は一度10年を振り返って欲しい。今日企業が存続しているということは、過去の日々に蒔いた種が果実をもたらしているからだ。良い種も悪い種も蒔かれたであろう、だけど良い種が余計に蒔かれたから、今日企業が生存しているといえると思う。10年を振り返り先輩達の努力に感謝したい。GE社の1世紀超の歴史のなかで、一番注目すべき10年と思う。「GE世界一強い会社の秘密」の著者W.E.ロスチャイルドは100年余のGEの歴史を四つのステージに分け、2001年以降を第4のステージ、CEOイメルトの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」戦略としている。20年間続いたウエルチ時代を引継いだイメルト氏は2001年9月CEOに就任の3日後に9.11が起こった。
          通りゆく車内売娘や春の夢

資金会計原論 25。1 10年間を振り返る

4月4日07:44:53

資金会計原論 25。1 10年間を振り返る
緑 2001年はGEにとっても、アメリカにとっても、大変な年だったのね。
父 9.11は人類に人として考えなければならないことを提供した。イメルト氏は技術に立脚する本来のGEへの回帰を目指した。以前はスケネクダディにあるR&Dでアプリケーションばかりでなく基礎研究もしっかりとやり、東京タワーを照らしている高圧ナトリュームランプ、東京電力等の火力発電設備、沸騰水型原子力発電設備、FMステレオの信号分離技術、ファクシミリ、CTやMRIの医療機器、旅客機や戦闘機等のジェットエンジン技術等で世界をリードしてきたが、いつしかGEキャピタルやプラスチックが前面に出てきてエジソンの時代からの社名にあるエレクトッリクが影を潜めていた。
        ソプラノの余韻耳底に春の夢

資金会計原論 25。2 10年間を振り返る

4月7日08:13:16

GE資産増加割合
資金会計原論 25。2 10年間を振り返る
緑 イメルト氏はGEは持てる資産の規模を年8%の割合で大きくできると言っているそうね。
父 そこで資金別貸借対照表を基に総資産を出し(A)総資産自体の成長割合、(B)Cash 利益(実質損益資金の増加額)と総資産の割合によるROA,(C)当期利益と総資産の割合によるROAだしたのが、上の表だ。
                   わが春愁読み解き貌の犬とをり

資金会計原論 25。3 10年間を振り返る

4月8日07:38:36

資金会計原論 25。3 10年間を振り返る
緑 この表から順調に成長してきたウエルチ時代を引継いだイメルト氏の船出は大変だったと思うわ。
父 イメルト氏がウェルチ氏からCEOを引継いだのが、9.11の3日前だったが、2001年の9ヶ月はウエルチ氏の時代だったので2001年はウエルチ時代に色分けした。(A)と(C)の増加割合、ROAが平均10%以上で、1997年の総資産$790億が2006年には2.7倍の$2122億と複利10%以上成長したことは慶賀のいたりである。Cash利益も複利3.6%で成長している。イメルト氏の初期投資が稼ぎだすのはこれからと思うが、Cash利益という真水が増えることを期待したい。
                      インフレの足音春の愁かな

資金会計原論 25。4 10年間を振り返る

4月9日08:56:50

資金会計原論 25。4 10年間を振り返る
緑 イメルト氏は宣言の年率8%以上の資産の成長を実現したのは解りました。
父 ここでGEの1997年から2006年までの10年間の資金状態推移を見てみよう。
                         春愁や音なく伸びる飛行雲
GE of 10 years

資金会計原論 25。5 10年間を振り返る

4月10日09:01:06

資金会計原論 25。5 10年間を振り返る
緑 損益資金(赤)が着実に伸び、固定投資(緑)も着実に伸びている。見事な10年間の成果を見ることができる。
父 ということはGEは絶えず収益性や成長性を失った事業は整理し、有望な分野を立ち上げてしかも新規投資が収益に貢献している姿と見ることができる。GEの百年超の歴史のなかで伝統となったポートフォリオマネギメントの成果ということができる。ホームページのGEの資金バランスグラフをみてごらん。調達側は損益資金が、運用側は固定資金が大部分を占めていることが解るだろう。資金状態グラフの折れ線グラフの黄丸は真正損益資金(オーナーズエクイティ)を示している。赤丸は正味損益資金である。
          春愁の種分かち合ふ夫婦かな

資金会計原論 25。6 10年間を振り返る

4月11日06:47:46

資金会計原論 256 10年間を振り返る

緑 赤丸の動きをどう見たらいいの、パパ?
父 このグラフのポイントは赤丸にある。良いところに気がついたね、緑。正味損益資金は自己資金だけで経営をしたと仮定したらいくらCashが残ったかの数字を示すものだ。黒字なら、損益資金が残っていることで、無借金経営又は無借金経営に近いことを意味する。赤字であるなら、必要な現金預金を残すために借入金が必要になることが多い。だから正味損益資金の±が無借金経営か借金経営かの分岐点といってよい。私はここで無借金経営が善で、借金経営が悪といっているのではないことは理解して欲しい。
                   春の夢我抱く父は若かりき


資金会計原論 25。7 10年間を振り返る

4月14日08:02:35

資金会計原論 257 10年間を振り返る

緑 赤丸は上がったり下がったりしているわね。

父 2001年までは上がり、2002年から下がっているね。ウエルチ氏の晩年は今までの慣性で上昇傾向にあったと思われる。20019CEOはイメルト氏に引継がれた。新しいCEOは自分の画くビジョンを実現するために当然舵を切る。「GE世界一強い会社の秘密」によればイメルト氏の策は次の三つではなかという。

1.グロバル規模で、技術に立脚する本来にGEに回帰する。

2.グローバリゼーションの推進。

3.三つの大ヒットに賭ける。 

         ものの芽や曇りなれども明りあり


資金会計原論 25。8 10年間を振り返る

4月15日08:00:27

資金会計原論 25。8 10年間を振り返る
父 数々の技術を開発してきたスケネクタディのR&Dセンターの改築と、インド、中国、ドイツにリサーチ施設を建設するために4億ドルの投資をおこなった。2004年のリサーチ予算は31億ドル以上であった。イメルト氏はR&Dにおける往年の先進性を取り戻すことに力をいれた。これはGEが末広がりの技術優位性を保ち、往年の技術のGEが蘇ることで、将来が楽しみだ。グローバリゼーションの推進の目標は中国、インド、ロシア、東欧、イラク等である。チョット気になる目標もあるが、グローバリゼーションはGEの伝統である。
緑 イメルト氏はGEの伝統に立ち返ろうとしているのかしら?
         ものの芽の曙光に灯りそめにけり

資金会計原論 25。9 10年間を振り返る

4月16日08:45:26

資金会計原論 25。9 10年間を振り返る
緑 イメルト氏の「三つの大ヒットに賭ける」を説明して?
父 彼の賭ける三つの分野は
1. ヘルスケア
2. ショー・ビジネス
3. 社会基盤(インフラ)と「世界の緑化」
なのだ。もともとGE のメディカル部門を育ててきた彼はこの分野に思い入れがあると思う。W.E.ロスチャイルド氏は「現在このビジネスを担当している副会長のウイリアム・キャステルを手に入れるため、GEはメディカル事業本部を創設時から置いていたミルウォーキーから英国に移した。外部の人間を副会長に据えたことや、その人物個人を獲得するためだけに主要事業の本部を移したことなどは、イメルト氏の柔軟性を如実に表している。」と述べている。
        ものの芽や和菓子は透けてありにけり

資金会計原論 25。10 10年間を振り返る

4月17日08:41:43

資金会計原論 25。10 10年間を振り返る
緑 事業本部を人材獲得のために英国に移したことも凄いけど、人材獲得のために目標の人材のいる会社を買収したことがあると聞いたことがあるけど。
父 そう。GEのポートフォリオ・マネジメントは人材を抜きには語れないんだ。19世紀末は交流(AC)か直流(DC)かの電流戦争の最中である。トーマス・エジソンはアイケマイヤー・オスターヘルト社(帽子製造機械と電動機の開発)に勤務するチャールズ・スタインメッツの才能に着目、当時GE のCEOチャールズ・コフィン氏は再三彼をGEに招聘しようとしたが、彼の興味を惹くことはできなかった。そこでコフィンは彼が勤務する会社の買収を決意し、GEは彼と彼の発明に係る特許を手に入れた。その後スタインメッツは1893年交流理論を確立した。
        春愁や心を置いて去りし人

資金会計原論 25。11 10年間を振り返る

4月18日06:43:29

資金会計原論 2511 10年間を振り返る

緑 イメルト氏のビジョン実現のために下表のようなネット投資額((新規投資+維持)-(売却+除却))777億ドルがあったと推算されるでしょう?

父 そうだ。R&Dへの投資、グローバリゼーションへの投資、ヘルスケア、ショウビジネス、インフラと緑化への投資が2002年から2004年にかけて777億ドルの投資が行われた。これらの投資はすぐに収益に貢献できないものも多い。そんな時にサブプライムローン問題が起こったことは残念だが乗り切らなければならい。
         
 猫じっと海を見ている若布干す

イメルト


資金会計原論 25。12 10年間を振り返る

4月21日08:01:45

資金会計原論 2512 10年間を振り返る

緑 話が発展するので、もう一度4月9日の資金状態推移の表に立ち返っていただくほうがいいんじゃない?

父 緑、良い所に気がついたね。その赤丸のところが正味損益資金だ。そこをウエルチ晩年とイメルト初期に分け数字を入れた表を書く。
                   
保険屋に命の値踏みさるゝ夏
GE正味損益資金10年
 


資金会計原論 25。13 10年間を振り返る

4月22日06:56:08

資金会計原論 25。13 10年間を振り返る
緑 正味損益資金は自己資金だけで固定投資を賄った後のCashの姿でしょう。
父 そうだ。ほとんどの会社の正味損益資金は赤字なので、赤字であることは問題ではない。赤字が減っていくことは資金の成長を意味し、良いことだ。Primary Balanceがそのことを示している。ウエルチ晩年は赤字が減り黒字となったところで、イメルト氏に引継がれた。そしてそのことを映す鏡のように借入金が減っていった。イメルト初期の正味損益資金の赤字は急激に増えた。それはCEOを引継いだイメルト氏のビジョン実現のための初期投資の結果である。そして2004年より早くも初期投資が⊿Gを生み始めた。そのことを資金状態推移グラフの黄丸(オーナーズエクイティ)の上昇が物語っている。
        白き脚ふえし銀座や夏めける

資金会計原論 25。14 10年間を振り返る

4月23日09:02:48

資金会計原論 25。14 10年間を振り返る
緑 国の予算編成の際によく借金を返済することよりもPrimary Balanceを黒字にすることを目標にすると、いわれますが、前々日の表のPrimary Balanceも同じ意味なの?
父 そう、同じような意味だが、正味損益資金の赤字が減ったり、黒字が増えることは、借入金にたいする依存度が減ることを意味する。結果として借入金が減少することが多い。
その意味でPrimary Balance の赤字の急増や減らない赤字の長期化は危険信号である。幸いイメルト初期は4年目で黒字化した。Primary Balanceをみることは、事業会社のみならず、学校法人会計等にとっても大切なことである。
        銀杏若葉骨格覆うほどでなし

資金会計原論 25。15 10年間を振り返る

4月24日06:51:48

資金会計原論 2515 10年間を振り返る
緑 当期利益だけでなく、Cash 利益(実質損益資金増加額)、Primary Balance(正味損益資金増加額)をみることが大切なのね。
父 その三つの数字を表にしよう。
                         神宮の競ふ緑の五月かな
GE10年三つの利益


資金会計原論 25。16 10年間を振り返る

4月25日07:00:12

資金会計原論 25。16 10年間を振り返る
緑 イメルト初期は新規投資をしたのに輝かしい業績を上げているのね。
父 Cash利益に対する当期利益の乖離が大きい気がするが、一応慶賀のいたりである。
粉飾で破綻したアソシエント・テクノロジー社は3期間の三つの数字の比較だけで粉飾が浮かび上がってくる。
Cash利益(実質損益資金の増加額)が当期利益の増加にもかかわらず当期利益以上の赤字で払込資本金をそれだけ食い潰している。Primary Balanceの赤字は増資と借入金で埋め現金預金39,645万円を残した。後日粉飾額はこの2期で49,640万円と発表された。
      明治座へ銀杏若葉の道をゆく

アソシエント・テクノロジー
            (単位:万円)

 

 2/07

 3/07

 4/07

当期利益 

 4,882

 10,791

 15,140

 Cash利益  

 -2,121

 -19,865

 Primary Balance  

 -4,361

 -40502

 


資金会計原論 25。17 10年間を振り返る

4月30日08:01:24

資金会計原論 25。17 10年間を振り返る
緑 GEこの10年間に自己資本と借入金とどっちが多く増えたの?
父 それは良い視点だね、緑。ウエルチ晩年の自己資本は5年間で1.8倍になり、借入金は0.6倍と大変良い状態でイメルトにバトンは渡された。イメルト氏は引継いだままで行ってもウエルチ氏の慣性効果でしばらくはウエルチ氏と同じような好業績を維持できるかも知れないが、先細るに決まっている。当然イメルト氏は彼のビジョン実現のために舵を切った。その姿がイメルト初期の5年間である。
                   世紀経し明治の森の若葉かな
GE