資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.2 資金バランスを見直そう
2009年3月2日09:11:46
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.2 資金バランスを見直そう
父 この頃ROEへの反省があり、ROE無用論などもでていますが、株主(オーナー)にとってROEが重要な尺度であることは否定できません。ROE無用論が起こる背景は時に異常に高いROEがでることにあります。それはROEが算出される過程(デュポン等式)にあります。その過程とは ROA×財務レバレッジ=ROE です。 バブルが弾けダイエーが再生機構入りの少し前2006年2月期のROEは
3.3%(ROA)×5.9(レバレッジ)=19.5(ROE)
でした。19.5%は再生機構入りするような企業としては考えられないような良いROEです。こんな異常値が出る原因は財務レバレッジにあります。ダイエーの他人資本は自己資本の5倍近くあります。この方程式からレバレッジが高ければ高いほど、ROEはよくなります。借入金の高いレバレッジ(梃子)に依存したROEは絵に描いた餅ということになります。
昔から言われていた負債比率100%以下即ちレバレッジ2以下がゴールデンルールです。
緑 ROEがこれからも評価されるので安心しました。
早春はフォルプランタン響き良し
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.3 資金バランスを見直そう
2009年3月3日10:58:57
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.3 資金バランスを見直そう
父 その理由は制度会計では借入金の返済は負債の減少なので、借入金により大きな期待利益が得られればレバレッジ効果があったと見るのでしょうが、資金会計では借入金の返済額は支払利息と同様に費用とみます。それは借入金を未来収益の先取りとして収益と認識したためです。借入金が梃子の効果をあげられるのは経験則の財務レバレッジ2以下です。多額の費用としての返済額には耐えられません。財務レバレッジのマキシマムを2と設定することによりROEは意味のある指標となります。
緑 資金スコアボードへの序章に入ってきた感じね。
早春の墓の息吹の伝はりく
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.4 資金バランスを見直そう
2009年3月4日09:35:52
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.4 資金バランスを見直そう
四つのシートからなるエクセルファイルを添付しましたので、FBシートのプロデュース社をご覧ください。
Fund Balance.xls(ファイルサイズ:625KB)
緑 自己資本か他人資本かの問題にレバレッジ(梃子)という概念が入ってきて問題点がクリアになってきた気がするの、そしてその問題点に明確な決着ができるのが資金会計ではないかしら?
父 トヨタ以外の3社の財務レバレッジは健全です。トヨタは積極投資のためか財務レバレッジは2.2で若干限度を超えています。通常ならばトヨタにとって問題はないのですが、リーマンブラザース破綻以後世界的に自動車の需要が落ち込んでいるので、成り行きを見守りたいと思います。資本金の下線の位置による 自己資本:負債 の判断は大雑把な見方で、このテストに合格しても良くない企業もあることを申し添えます。換言すれば 自己資本:負債 だけで企業の良し悪しを判断できないと言うことです。このことは後述するプロデュース社の資金バランスグラフをご覧下さい。任天堂は無借金経営で資金会計理論の提唱者故・佐藤幸利先生(1947~2003)が理想とされた損益資金がそのままCashとして残る(実際はCash≒損益資金)姿を見ることができます。京セラも借入金はグラフから見るとほとんど無いくらいです。われわれは借入金を否定しません、ただ借入金という梃子に依存する節度について言っているのです。
恋猫の毛並みの汚れたのもしき
危機脱出のために借入金を資本金に変換を
昨年定額給付金の話を聞いたとき、よい正月が迎えられるように年末に貰えるのかと思っていました。それが金持ちは辞退すべきだとかどうだとかと二転三転して3月の事業年度末に支給されれることになりました。それも地域によっては4月以降にずれ込むと聞いています。なぜこうもフットワークが悪いのだろうか。台湾では定額給付金を旧正月前に支給して効果を挙げているというのに。
中小企業は貸し渋りもあり、資金繰りに困っています。経営者は金策に走り回っていますが、それは前向きな投資のためではありません。借入金返済資金のための金策です。これでは雇用維持のことなど考えられません。いつも言うことですが、中小企業経営者の頭の中は返済額プラス支払利息の金策です。借入金の返済は借入金の減少で費用ではないなどということは考えていません。
この窮地を脱出する(負のスパイラルから脱出する)するには借入金を資本金に替えて、即ちDES(デッド・エクイティ・スワップ)によって、さらに換言すれば、銀行は貸付金を融資会社の株式に替えることです。そのことにより融資先企業は返済と利払いの重圧から解放され、経営に積極的な注力ができるようになります。雇用対策にもなります。
これは良いことだとしても金融機関は躊躇します。そこで貸付金から転換した融資先株式を国が買い取るのです。金融機関の資金不足は解消し融資先は借入金返済と利払いから開放されます。
国が買取った融資先株式は景気回復後徐々に自社株として買い戻せば良いでしょう。買い戻された株式の時価が上がっていれば、国は利益を享受できます。買い戻した企業も株主価値を高めることができます。国は単に金融機関の持株を買取る前にDESというワン・ステップを入れることによって、計り知れないメリットが生まれます。それは融資先企業の資金バランスが改善されるからです。資本勘定が欠落したままでは回復する前に破綻してしまいます。世界に誇る技術を持つ中小企業を潰してはなりません。
手許に2007年2月期のダイエーの財務諸表があるので、ダイエーは中小企業ではありませんが、ダイエーでDESの効果を検証してみましょう。
ダイエーの財務レバレッジは3.6です。有利子負債は6,424億円です、内1年以内に返済すべき長期借入金3,307億円と短期借入金836億円があるので1年以内に返済すべき有利子負債は合計4,143億円ということになります。支払利息が121億円あるのでDESにより1年間に計4,264億円の負担から開放されます。有利子負債全額が株式に変換されれば次年度以降の負担もなくなります。返済原資727億円=当期利益486億円+減価償却額241億円とするとダイエーの借入金がいかに重圧であったか、そしてDESが実現したら、どんなに自由に夢を実行できるか、その結果雇用にも良い結果が生まれるでしょう。夢物語にしたくないと思っています。
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.5 資金バランスを見直そう
2009年3月6日09:30:41
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.5 資金バランスを見直そう
四つのシートからなるエクセルファイルを添付しました。スコアボードシートを開いて下さい。
Fund Balance.xls(ファイルサイズ:625KB)
緑 会計学を沸かせた動態論と静態論が登場するのね。
父 京セラのグラフは2期の資金バランスとその間の変化を示すグラフです。故・佐藤幸利先生は資金会計は継続事業を前提としている、と言われました。事業は一日の休みも無く、川が流れるように続いています。昔は休日で皆が休んでいても、金利だけは発生しました。今はグローバル化しすべての業務が24時間休み無く発生しています。創業から現在まで休み無く続く姿が資金別貸借対照表です。上のグラフの右端の2007/03期資金別貸借対照表は創業から2007/03/31までの財政状態のスナップショットです。無限に繋がって出てくる食パンを想像して下さい。一斤の食パンが資金別損益計算書で、その断面が決算日の財政状態を示す資金別貸借対照表です。この食パン理論は亡くなられた公認会計士の大先輩橋本祐次先生から学んだ動態論の損益計算書と貸借対照表の関係でした。私はこの比喩でシュマーレンバッハの名前を聞かない日はなかた受験のために会計学を勉強していた当時Going Concernの意味を身近なものとして感じることができました。
恋猫ののた打ち回る羨やまし
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.5 資金バランスを見直そう
2009年3月9日09:00:36
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.5 資金バランスを見直そう
スコアボードシートを開いてください。
緑 いよいよ資金会計のキャッシュフローを目で見るのね。
父 真ん中の小さいグラフが一期の川の流れです。創業以来連綿として流れている経営活動の一期分の姿です。1期分の食パンです。創業以来連綿として流れている経営活動がGoing Concernの姿です。この流れはCashの流れなのです。橋本祐次先生は「すべての取引の墓場はCash」と言われました。川の流れは時に売掛金に、時に棚卸資産に、時に固定資産に、時に借入金に姿を変えていても、いずれCashに立ち返ます。資金会計はすべての勘定を損益資金、資本金、長期借入金、短期借入金、その他流動資金、売上仕入資金、棚卸資産、固定投資、現金預金の9個の資金に集約します。9個の資金がそれぞれの色を持って流れるので財務判断を容易にすることができます。グラフを見れば一目で資金バランスが解かります。
‘2006/04~2007/03期中の9個の資金の流れを読むと増加した損益資金(内部留保)と手許Cashとで増えた売上に対応するサイトと棚卸を賄い、そして将来のために投資をし、長・短借入金を返済しその他流動資金を減らしました。手堅い経営活動の流れが2006/03期の資金別貸借対照表に上積みされ2007/03期の資金別貸借対照表となり格付は+10と2ポイント上昇しました。
e-Taxで申告済ませ身軽かな
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.6 資金バランスを見直そう
2009年3月10日09:00:22
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.6 資金バランスを見直そう
添付ファイルのスコアボードシートを開いて下さい。
緑 スコアボードの真ん中が食パンで左端が食パンの前期の資金バランスを示す断面で、右端が今期の資金バランスを示す断面なのね。
父 二番目の表は京セラの資金スコアボードグラフの実数です。Cashの本流が資金別損益計算書で決算日に流れをcut offしたスナップショットが資金別貸借対照表であることは前に述べたとおりです。しかし借入金が収益で固定投資が費用であることに違和感を持たれる方もあるかと思い佐藤幸利先生の言葉を引用させていただきます。「借入金は未来収益の先取りでCash視点では収益であり、固定投資は将来費用の前払いでCash視点では費用である」と。資金会計ではCash以外の資金にCashとは別の色をつけ、墓場までの仮の姿として認識しています。上表のBottom Lineは山吹色の現預金(Cash)です。2006/03期末のCash3,007億円は期中他の資金に183億円使用され、2007/03期末には2,824億円が次期に繰越されました。Bottom Lineから上の資金はそれぞれの墓場(Cashになる)までの仮の姿ですが、嘘をつかないBottom LineのCashに支持された資金バランスは赤裸々に財務の実相を示してくれます。ここに粉飾に強い資金会計の秘密があります。嘘をつかないBottom LineのCashはその上の資金バランスを写す鏡です。そこで我々はこのシステムをCashmirrorと命名し商標登録をいたしました。
荒川の角ぐむ蘆の夕べかな
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.6 資金バランスを見直そう
2009年3月11日09:08:41
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.6 資金バランスを見直そう
緑 実質損益資金は資金会計でいう営業活動で残ったCashだから、このキャッシュを最大にすることが経営の第一目標じゃないのかしら?
父 その通りだ。だけど取引先をいじめて支払サイトを長くすればいいのかというと、その答えはNoである。当社の支払債務は取引先の売掛債権であるので、当然バランスを考えなければならない。京セラは2007/03期損益資金を2,395億円増やしましたが、売掛サイトに295億円と棚卸資産に187億円をとられ実質損益資金として1,913億円のCashを実現しました。損益資金のCash化率は1,913億円÷2,395億円=80%でした。この比率は企業により、業態により様々ですが、経営の第一目標が緑の言うとおり、実質損益資金を増やすこと(Cashをできるだけ多くすること)であることに疑問の余地はありません。Cash化率の変化を見詰め、変化の原因を知っておくことが大切です。
白酒や産めよ増やせよ栄あれ
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.7 資金バランスを見直そう
2009年3月12日16:05:41
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.7 資金バランスを見直そう
緑 問屋金融機能を持つ商社のサイトは長いと言われているけれど。
父 ここでCash化率について敷衍しておこう。総合商社の実質損益資金は赤字となる場合があります。それは売掛サイトを長くすることによって商圏を確保するからです。総合商社の場合、長い売掛サイトは投資と考えるべきでしょう。実質損益資金として資金バランスがとれなくても、長期借入金調達後の安定資金か短期借入金調達後の修正安定資金で資金バランスがとれているかみることが大切です。その際に更に大切なことは、借入金負担余力テストをしておくことです。このことについては後で触れます。
しとやかな乙女に変身雛祭
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.8 資金バランスを見直そう
2009年3月13日09:32:23
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.8 資金バランスを見直そう
緑 実質損益資金が企業の命運を賭けるものであることは解かりました。
父 ここいらで、真正損益資金、正味損益資金に話を移そう。
真正損益資金 次に京セラの真正損益資金をみると、1,936億円増えています。オーナーズエクイティが増えたのですから大変結構なことです。
正味損益資金 正味損益資金は1,719億円増えました。固定投資を維持し更に将来のための投資をして1,719億円の資金的成長をしたのですから、これも大変結構なことです。2007/03期末の正味損益資金残高は成長額1,719億円を加えて3,695億円です。正味損益資金0円の時が借入をするかしないかの分岐点になります。3,695億円も正味損益資金があれば借入をする必要はないのですが、銀行との関係維持のためか長期借入金が254億円、短期借入金が152億円ありますが、実質無借金経営といって良いと思います。
次に借入金を見てみましょう。長期借入金を369億円返済し、短期借入金を756億円返済できたのですから、健全と言うことができます。
次にその他超短期資金をみると、自己株式の購入219億円があります。株主への貢献と言えるでしょう。
借入金を返済して、月商の2.6ヶ月分の現預金を残すことができました。京セラは優等生です。
目刺焼く昭和は遠くなりにけり
閑話休題
金賢姫と飯塚さん父子との釜山での出会いに心を打たれた。冒頭での飯塚繁雄さんの初対面の挨拶に、金さんは私から先に言葉を述べなかった非礼を詫びた。ルーツを同じくする日韓両民族の年長者を敬う姿勢に感動した。飯塚耕一郎さんを抱きかかえた姿からは、田口八重子さんから日本語や日本の風習の特訓を受けていた若い日々、それは生まれたばかりの耕一郎さんから引き裂かれ北朝鮮に拉致されてきた八重子先生の悲運に共に涙した日々でもあった、長い歴史を感じさせる一瞬で涙を禁じえなかった。そして最後の「韓国のお母さんになる」という言葉に繋がっていった。
あんな素晴らしい女性が優秀であったがために、体勢に翻弄されてしまったことを嘆くばかりである。長く歴史に残る場面を共有できたことに感謝している。
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.9 資金バランスを見直そう
2009年3月16日09:13:11
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.9 資金バランスを見直そう
緑 良い企業の資金バランスを見てきたので、これからは問題企業の資金バランスを見るのでっしょう、パパ?
父 そう、優良企業の資金バランスを検証したので、つぎに問題企業の分析をして問題企業の資金バランスの崩れを検証してみたい。その嚆矢として、2008年9月27日の日本経済新聞15面に「プロデュース 再生法を申請 負債総額74億円」と題する記事がありましたので。プロデュース社を取り上げます。記事は続く「ジャスダック上場で電子部品の製造装置などを手掛けるプロデュースは二十六日、新潟地裁に民事再生手続き開始を申し立て、保全処分を受けたと発表した。負債総額は約七十四億円。十月一日に新潟県長岡市で債権者説明会を開く。同社は粉飾決算の疑いが強いとして、十八日に証券取引等監査委員会の強制捜査を受けた。二十四日には監査法人との契約が解除され、二00八年六月期の有価証券報告書提出が危ぶまれていた。信用不安で金融機関からつなぎ融資を受けることが困難となり、資金繰りが行き詰った。同社は一九九二年に新潟県長岡市で創業。電子部品に様々な素材を塗る独自技術を武器に業績を伸ばしてきた。〇五年十二月にはジャスダックに上場、成長企業として注目されていた。」
別のメディアによれば、粉飾を敷衍して架空循環取引と述べているものもあります。
わが顔を掬って清む五十鈴川
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.10 資金バランスを見直そう
2009年3月17日09:41:09
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.10 資金バランスを見直そう
緑
Fund Balance.xls(ファイルサイズ:625KB)
添付ファイルのFBグラフシートのプロデュース社のグラフを見ていただくといいわね。そして最新期の資金バランスをご覧下さい。先ず一番大きな面積を占めている資金に注目して下さい。その資金が分析する企業の特徴となります。プロデュースでは棚卸資産です。そのことを頭に入れておいていただくといいわね。
父 それでは調達側からはじめましょう。
損益資金 損益資金は順調に拡大してきましたが、売上仕入資金と棚卸資産をカバーできず、棚卸資産の半ばより上に損益資金の底辺の延長線があります。その延長線より下の棚卸資産21億円が営業活動で回収が済んでいない額を示す実質損益資金の赤字額です。プロデュースの実質損益資金は過年度も赤字です。何期もこんな赤字が続いていては、増資、借入、固定投資のリストラがなければ、破綻します。プロデュースは前期には20億円の増資をし、今期は22億円の短期借入をしました。
損益資金はどんどん大きくなっています。結構なことです。それは売上が31億円、59億円、97億円と順調に伸び、当期利益も1億円、4億円、8億円と順調に伸びているからです。しかし格付をみると、±0、+2、-4です。売上、当期利益ともに最高の2007/06期の格付は急激に悪化しー4となりました。資金状態は3期すべて危機信号のREDです。前々期の格付はまあまあで、前期の格付はプラスに転じ良い方向に向かいました。格付は、粉飾により良くなることがます。しかし資金状態を欺くことはできません。格付は好転しても、資金状態がREDであるので、格付上昇に惑わされることなく一応粉飾の存在を意識して分析を進めることが肝要です。今期は格付も悪化しました。それでも売上や利益は財務諸表を見るものを安心させるものです。
仕草を真似て白魚の踊り食い
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.10 資金バランスを見直そう
2009年3月18日09:15:10
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.10 資金バランスを見直そう
緑 昨日と同じシートを見てください。資金会計の重要なCash指標である真正損益資金と正味損益資金に話は進むのね。
父 真正損益資金 棚卸資産の下線を資本金に向かって延長して下さい。その延長線から上の資本金部分は実質損益資金が赤字であるために欠けこんだ資本金です。損益資金(内部留保)と払込資本金の三分の二以上がなくなったのですから大変です。真正損益資金(オーナーズエクイティ)が払込資本金の1/3弱しか残っていないのですから。
汚れたる毛並み恋猫の勲章
輝かしい再スタートのために
中小企業は借入金の重圧と貸しはがしに苦しんでいます。このような状態の企業に金融緩和で新規借入ができたとしても、それは旧債が新債に変わるだけで、少し生き延びることはできるでしょう。
経済の沈滞で企業収益減退の中、中小企業は「借入金返済額+支払利息」の負担ができません。こんな状態では新規借入金が積極的な事業に役立つとは思えません。新規融資が中小企業に活を与えるためには旧債がなくなることが必要です。この不況が底を打って立ち直っていくときには世界中の企業が東京マラソンのように一斉にスタートラインに立つわけです。このマラソンの勝者になるためには体力がなくてはなりません。
その体力とは借入金のない財務基盤(正確にいえば「自己資本>他人資本」)です。この財務基盤が勝敗を決します。それにはDES(デッド・エクイティ・スァップ)により金融機関債権を出資に切替え、金融機関のその持株を国が買取ることです。これで金融機関の資金不足は解消し、新たな融資が可能になります。そして貸倒引当金設定の重圧から開放されます。新規融資を受けた企業は後顧の憂いなく夢の実現に邁進できます。企業は業績回復時に国の持株を買い戻せばよいでしょう。国は持株の売却益を享受できるでしょう。
中小企業が強い体力でスタートラインに立てるようDESを実施してください。
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.11 資金バランスを見直そう
2009年3月23日09:09:53
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.11 資金バランスを見直そう
緑 固定投資とその資金の調達の問題に入るのね。固定投資は企業の核をなすものだから、どんな資金で調達されたかが企業の将来に関わってくるのね。
父 その通りだ、緑。今度は資本金の下線を固定投資へ延長して下さい。固定投資は本来損益資金、資本金、長期借入金で賄うべきものなのに、プロデュースは固定投資を資本金の三分の二以上が実質損益資金の赤字補填に使用されてしまったので、資本金の残り、長期借入金、そしてその半分以上を短期借入金で賄っています。
ここで一つの反論がでると思います。それは短期借入金は運転資金の調達だから、当然棚卸資産の購入に当てるべきもので、損益資金の直下に位置すべきだ。ということです、そして実質損益資金の赤字の原因となった棚卸資産は21億円なので、短期借入金22億円と資金的にバランスし固定投資27億円は資本金30億円で十分賄えるので問題はないのではということです。
確かにその通りです。金融機関に在庫のための運転資金として融資を申し込むのは良しとしても、いまは資金バランスを論じているのです。資金バランス分析に際しては短期借入金を損益資金の直下にもっていかないで下さい。
浮かび出す戒名の金文字や彼岸
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.12 資金バランスを見直そう
2009年3月24日09:34:39
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.12 資金バランスを見直そう
緑 正味損益資金は企業が資金的に成長しているかを見る入口で、プライマリーバランス(自己資本だけで経営をした場合、どれだけ自己資本が余っているか、不足しているか)の姿を見るとても重要な資金なんでしょう?
父 資本金の下線から上は自己資金で、資本金の下線から運用側へ延長した線から上は自己資本で賄われたものを示しています。プロデュースの場合は固定投資の約三分の一までを自己資金で賄うことができました。固定投資の残り約三分の二は借入金で賄われました。資本金の下線が自己資金と借入金との分岐点になります。運用側の売上仕入資金、棚卸資産、固定投資(現状の維持、新規投資、除却等)までが、企業の経営活動です。そこまでどのように調達された資金が使用されたかの状態を示すのが正味損益資金です。資本金の下線が何処にあるかにより、正味損益資金、即ち、プライマリーバランス(PB)の姿が変わってきます。延長線より上に固定投資の下線があれば、固定投資の下線から延長線までがプラス正味損益資金となります。延長線と固定投資の下線が重なれば、正味損益資金はゼロでPBは均衡状態です。延長線より下に固定投資の下線があれば延長線から固定投資の下線までが-マイナス正味損益資金となります。正味損益資金の数値によりPBの状態を知ることができます。マイナス正味損益資金の企業がほとんどです。プラスでもマイナスでも良いのです。正味損益資金は資金の成長を示すものなので、プラスの場合プラスが増えていき、マイナスの場合マイナスが減っていくことが良いのです。ただし何年目かに行う大々的な新規投資の期を除いて。
下萌や給まはりし余燼燃やさねば
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.13 資金バランスを見直そう
2009年3月25日09:37:14
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.13 資金バランスを見直そう
父 しかし正味損益資金の増減額は増資減資により歪められます。例えば増資により正味損益資金の赤字が減ることは良いことなのですが、増資の影響を排除して企業の実力で減った赤字額を掴むために、正味損益資金額から資本金額を差引いて2期比較をし、プラスなら実力でCashとして成長が実現したとします。マイナスならCashとして衰退となります。
緑 プライマリーバランス(固定投資までの資金が自己資本だけで足りているのか)の姿を見るのには正味損益資金の姿で判定できる、即ち、正味損益資金がプラスなら、自己資本だけで足りているし、±0なら、借入に頼らなくてもすむ均衡点であるし、マイナスなら借入金を必要としている状態と言うことができる。
けれども経営がCashの成長をもたらしたかどうかを見るには、増資や原資の影響を排除して見るためには正味損益資金から資本金を差引いた段階での2期の増減を見る必要があるのね。
父 そう。正味損益資金は重要なそしてヒントに富む指標なのだ。
卒業の袴着の娘等集まり来
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.14 資金バランスを見直そう
2009年3月26日14:53:47
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 9.14 資金バランスを見直そう
緑 正味損益資金(Primary Balance)とCashの成長との関係を、GE社のCEOがウエルチ氏からイメルト氏に引継がれた10年間で見てみましょう。
Fund Balance.xls(ファイルサイズ:628KB)の「GE社の10年」シートをご覧ください。
父 2001年ワールドトレードセンタービルが崩壊した9.11の3日前にイメルト氏はGE社のCEOをウエルチ氏から引継ぎました。
実質損益資金(Cash利益)は10年間成長を続けました。固定投資額は増え続けました。GE社はこの10年間成長路線を走り続けました。ウエルチ時代の最後の5年間の正味損益資金(Primary Balance)は赤字が減り黒字に変換しました。イメルト氏の最初の3年間は赤字が増え続けましたが、2005年より赤字は減少に転じました。
イメルト氏はウエルチ氏の路線を継承しても、それなりの成果は挙げられるのに、自分がイメージする路線に転換するために積極的な固定投資をし、4年目より正味損益資金は上昇に転じました。イメルト氏のビジョン達成意欲に男を感じることができます。
2005年よりCashの成長がはじまりました。GE本来の技術中心の会社を目指し研究所の充実に力をいれている矢先にリーマンブラザースの破綻が起き、金融ビジネスの整理がもっと進んでいればと悔やまれます。GEも多少の減速からは逃れられないでしょう。
春雨や舗道に写る花舗のかげ
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 10 粉飾額を予見する
2009年3月27日13:44:45
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 10 粉飾額を予見する
緑 これから画期的なテーマが始まるのね、わくわくするわ。
父 故・佐藤幸利先生と先生の定宿であった八重洲富士屋ホテルでよく会合を持ちました。そのとき先生は粉飾額が解かる筈だと言われました。我々は狐につままれた気持ちでした。
あれから粉飾事例をいろいろと検証しているうちに、佐藤先生が考えられていたことが、見えてきました。
卒業の娘等のざわめくロビーかな
粉飾資金会計原論Theory of Cash by Funds— 10.1額を予見する
2009年3月30日09:10:26
粉飾資金会計原論Theory of Cash by Funds— 10.1額を予見する
緑
粉飾額推定.xls(ファイルサイズ:38KB)を開いてください。
父 このシートは3部からなっています。第1部は優良2社の事例、第2部は公表された粉飾額との対比、第3部は粉飾額の推定事例、です。
我々は粉飾前と粉飾後の正味損益資金は変わらないことに気付きました。粉飾に
より売上高や当期利益は良くなっても、粉飾に走らざるを得なかった資金状態(正味損益資金)は変わらないということです。Cashは嘘をつかないことを実感しました。この発見を実務として活かすためには、増資や減資という営業活動と関係のない変化が正損益資金に与える影響を排除するために、正味損益資金から資本金等を差引、前期のその数字と比較しました。 今期その数字が増えていれば資金の成長、減っていれば資金の衰退です。
薔薇の芽に触れきし夕のアベマリヤ
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 10.2額を予見する
2009年3月31日09:29:14
資金会計原論Theory of Cash by Funds— 10.2粉飾額を予見する
緑 正味損益資金は企業のPrimary Balance の姿を示しているのね。即ち、正味損益資金がゼロならば、自己資金だけで経営ができたことを示し、プラスなら自己資金が余っていることを示し、マイナスならどれだけ借入金に頼っているか示しているのね。ではCashの成長はどうやって診るの、パパ?
父 売上高や当期利益が順調に伸びていて、資金も成長していれば、これら両線は平行して上昇するのが、常態です。京セラがその典型です。その反対に売上高や当期利益が順調に伸びているのに、資金が衰退しこれら両線が横八の字型を画けば、粉飾ということになります。第3部にその事例がたくさんでてきます。ここで注意しなければならないことは、第1部トヨタのような優良企業に横八の字型がでることがあるので、その横八の字型が粉飾によるものか優良企業の積極投資によるものかを見分けなければなりません。第3部で出た横八の字型はすべて粉飾型の 「⊿固定投資<資金悪化の絶対値」 です。社名を列挙すると、プロデュース(添付ファイルに掲載)、アーバンCorp,日本総合地所(添付ファイルに掲載)、IXI,日本コーリンです。そしてこれらの会社の資金状態はすべてREDでした。
授乳する母親もゐて春障子