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奥井 英作

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資金会計原論Theory of Cash by Funds16.18 今、何故資金別貸借対照表なのか

2009年10月1日09:15:03

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.18 今、何故資金別貸借対照表なのか

緑 そこから資金会計の登場にいたる過程を詳しく話して、パパ。

父 企業を取り巻く株主、債権者、労働組合、税務署等のステイクホルダー達は一定期間毎に企業成果の確定を望み、近年では1年毎の決算に落ち着いてきた。株主はキャピタルゲイン(内部留保)が増えているか、期待した配当が得られるかに関心があるだろう。債権者は担保価値が確保されているか、元利の支払ができる収益があるだろうかに関心があるだろう。労働組合は継続して賃金が支払われれかどうか、賃上げの可能性、ボーナスの獲得可能性に関心があるだろう。税務署は期待以上の税収が得られるかに関心があるだろう。これらステイクホルダー達の関心を満たすものとして貸借対照表の地位は高まってきた。債権者保護のための財産目録的静態論の貸借対照表ではなく、期末未解決項目を示す動態論の貸借対照表で且つ次期の出発点となる貸借対照表が市民権を得た。

                                          雲遊ぶ岩間の水の澄みてけり

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.19 今、何故資金別貸借対照表なのか

2009年10月2日09:09:51

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.19 今、何故資金別貸借対照表なのか

緑 期末の未解決項目は端的に資産を前払費用と考えると言われているけれど、売掛金のように収益は発生したけれど、未収入な項目もありCashがその判定の軸になってきて、キャッシュフロー計算書登場の契機となったと言うところを詳しく話して、パパ。

父 大先輩、公認会計士橋本祐次先生はすべての取引の墓場はCashであるといわれた。

動的貸借対照表の資産の部は(1)支払われたが未だ費用にならない固定資産等、(2)収益に計上されたが未だ入金しない売掛金等、(3)支払われたが未だ入金していない貸付金等とCashそのものとからなり、負債資本の部で(4)費用は発生したが未だ支払われていない買掛金等、(5)入金はしたけど未だ収益に計上されない前受金等、(6)入金したが未だ支払われない支払われない借入金、資本金等がある。この動的貸借対照表の未だの「未」の字に注目される方もいるが、私は「未」の字の前後の支払と入金、即ちCashに注目する。「未」はCashが先に出たか、後から入るかを表している。「未」を中心に見ると(7)Cashは貸借対照表の資産の部の1勘定となり、損益計算書を繋ぐ環にはならないので、当期利益が環になっている。

                                          新世紀野菊のごとき君は死語

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.20 今、何故資金別貸借対照表なのか

2009年10月5日08:58:48

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.20 今、何故資金別貸借対照表なのか

緑 Cash2期の財務諸表を繋ぐ環になれば、動態論の完成ということかしら?

父 そうだ。資金会計が制度会計と違う点は資金別貸借対照表と次期の資金別貸借対照表とを繋ぐ環が資金別損益計算書の費用・収益のバランスをとるCashの増減であることです。資金会計は独自の会計制度を作ることも可能かもしれませんが、現在流れている制度会計の結果を読み替えても不都合はないので、制度会計を否定するものではありません。会社を設立し開始貸借対照表ができました。営業活動が始まりました、資金別に取引記録をすることはできるかもしれませんが、必要はありません。制度会計のままに会計をしていただいて結構です。決算が済んだら資金別貸借対照表を作り反省しましょう。制度会計の財務諸表から見えないものがみえてきます。それは資金別貸借対照表が嘘をつかないCashBottom line とし、Cash以外のすべての貸借対照表勘定はCashの相手勘定となり資金別に集約されているので、資金バランスの歪を端的に読み取ることができるからです。2期の資金別貸借対照表の差額はその期の資金別損益計算書で、その期の資金別損益活動を示しています。

                                          菊を手に天地人位を計りをり

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.20 今、何故資金別貸借対照表なのか

2009年10月6日09:25:32

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.20 今、何故資金別貸借対照表なのか

緑 なんだか資金別貸借対照表は動態論に基づいたキャッシュフロー計算書という感じがするけど。

父 資金別損益計算書の説明は後回しにして、動的キャシュフロー計算書の話をしよう。制度会計のキャッシュフロー計算書は当期利益から出発し、営業活動C/F, 投資活動C/F, 財務活動C/F を経てCashの増減額に終ります。貸借対照表と損益計算書とを繋ぐ環がない独立した表です。キャッシュフロー計算書は様々な有益な情報を提供してくれます。しかし当期利益から出発してCashの増減で終わっていますが、Cashの増減が当期利益の対概念のCash利益ではありません。

                                          様々の菊横たはる姫の園

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.21 今、何故資金別貸借対照表なのか

2009年10月7日08:07:14

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.21 今、何故資金別貸借対照表なのか

緑 動的キャッシュフロー計算書が登場するのね。

父 資金スコアボードをご覧下さい。上の半分が動的キャッシュフロー計算書です。3期の資金別貸借対照表を二つの資金別損益計算書のBottom line であるCashの増減額が環となって繋いでいます。3期のBottom line Cash3期の貸借対照表の現金預金額です。Bottom line 3期のCashの流れです。Bottom line から上はCashの相手勘定を資金別に纏めた各資金の3期の流れです。3期の各資金の合計はBottom line Cashと一致します。3期の現預金欄は損益資金から出発してCashに終わるキャッシュフロー計算書です。

縦糸と横糸が布を形成するように3期のCashの流れがマトリックスをなしている資金会計の動的キャッシュフロー計算書です。

                                          菊の白いよよ明るきわが心

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.21 今、何故資金別貸借対照表なのか

2009年10月8日07:52:25

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.21 今、何故資金別貸借対照表なのか

緑 少し混乱してきたので、パパ、纏めてくれませんか。

父 いい忠告を有難う、緑。 資金別貸借対照表は貸借対照表という名がついているが、

   資金別貸借対照表=貸借対照表+損益計算書

で、それを資金別に纏めたものなのだ。貸借対照表の当期未処分利益は

   当期未処分利益=前期未処分利益+当期損益

と、端的に分解することができる。当期損益は損益計算書の集約であるので、資金別貸借対照表は貸借対照表と損益計算書とを一体化したものということができる。制度会計では2期の損益計算書を繋ぐ環が貸借対照表であったが、資金会計の2期の資金別貸借対照表を繋ぐのは資金別損益計算書でその環は2期のCashの増減額です。資金会計のCash増減額はBottom line 資金別貸借対照表と資金別貸借対照表とを繫ぐ環を形成し、3期の資金別貸借対照表全体が動的キャッシュフロー計算書となっています。損益計算書と貸借対照表を一体化した資金別貸借対照表が資金別損益計算を挟んで、動的キャッシュフロー計算書となったのです。この三位一体の姿こそ動態論の頂点といえると思います。

                            菊花展心は菊にあらざりき

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.22 今、何故資金別貸借対照表なのか

2009年10月9日09:30:26

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.22 今、何故資金別貸借対照表なのか

緑 キャッシュフロー計算書が動態論として不動の地位を得たのね。

父 それだけではないんだ、制度会計のキャッシュフロー計算書は営業活動によるCF,投資活動によるCF,財務活動によるCF3区分だが、資金会計は損益資金、売上仕入資金、棚卸資産、資本金等、長期借入金、固定投資、短期借入金、超短期資金に分かれている。これらの内プラス資金を調達側にマイナス資金を運用側にして現預金で左右をバランスさせた資金バランスグラフが資金スコアボードの下半分のグラフになっている。一目で企業の財政状態が解るようになっている。財務分析は企業の安全性、収益性、成長性を知ることと言われているが、安全性は長期借入金と短期借入金の大きさから、収益性は利益ではなくCash利益の姿を実質損益資金の姿として把握できる。成長性は投資を終わった段階でのCashの姿を正味損益資金で知ることができる。それ以外に真正損益資金はオーナーズエクイティの姿をそして現預金は借入金がCashとして残っているのか、オーナーズエクイティもCashとして残っているのかを語ってくれる。

                            吾亦紅心の紅は我が想い

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.23 今、何故資金別貸借対照表なのか

2009年10月13日06:48:46

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.23 今、何故資金別貸借対照表なのか

緑 動的キャッシュフロー計算書の2期の資金別貸借対照表を繫ぐ環となる資金別損益計算書のことが残っているわね。制度会計では貸借対照表が2期の損益計算書を繫ぐ環であるのに対して2期の資金別貸借対照表を繫ぐ環は資金別損益計算書になるのね。

父 今期の資金別貸借対照表から前期の資金別貸借対照表を差引いた差額のプラス資金を入金側にマイナス資金を出金側にしてCash の増減額で左右をバランスさせたものです。資金会計では入金は即収益であり、出金は即費用と考えます。その意味で資金別損益計算書と称しています。添付ファイルのSMSの資金スコアボードをご覧ください。下段の資金バランスグラフが総てを語っています。損益資金(儲け)、サイト勝ちの売上仕入資金、増資額の入金(収益)があり、固定投資とその他の僅かな出金(費用)があり、入金の殆どがCashとして残りました。羨ましい会社です。

                            吾亦紅活けて愛するその影を

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.24 今、何故資金別貸借対照表なのか

2009年10月14日10:26:06

資金会計原論Theory of Cash by Funds16.24 今、何故資金別貸借対照表なのか

緑 JALANAが受けたリーマンショックについて説明して、パパ。

父 先ず制度会計の9/3期に終わる5年間のハイライトを対比してみる。

売上高:億円

5/3

6/3

7/3

8/3

9/3

JAL

21,299

21,994

23,019

22,304

19,512

ANA

12,928

13,688

14,897

14,878

13,926

 

純利益:億円

5/3

6/3

7/3

8/3

9/3

JAL

301

472 163

169

632

ANA

270

267

327

641

43
 
投資活動CF:億円

5/3

6/3

7/3

8/3

9/3

JAL

215 993 562 262 1057

ANA

1,692 464 1,283 698 1,111
 
従業員数:人 5/3 6/3 7/3 8/3 9/3
JAL 53,962 53,010 51497 49,200 47,526
ANA 29,098 30,322 32,460 31,345 33,045
 

                                          蘇る若き記憶や吾亦紅


資金会計原論Theory of Cash by Funds17.2 リーマンショックの影響

2009年10月17日12:03:41

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.2 リーマンショックの影響

緑 リーマンショックはファーストリテーリング(ユニクロ)など一握りの企業を除いて殆どの企業が大なり小なり影響を受けたようね。

父 そう、米国のサブプライムローン問題が話題となる前には18,000円の日経平均株価は徐々に下がり始めリーマンショック前には13,000円であったのが、ショック後は8,000円となってしまった。JALANAで比較検討してみよう。

いつもの例に倣いCashmirrorで格付けを見ることにする。

格付

‘7/3

‘8/3

‘9/3

JAL

土0 Yellow

-1 Yellow

-2 Yellow

ANA

+3

+5 Yellow

+2

9/3期はリーマンショックのあった期で、JALの格付はあまり良くありません。特に3期とも資金状態に黄色が点灯しています。点灯の原因は 現預金>損益資金 にあります。この型は粉飾などで利益を計上しても資金繰りが苦しい企業によく見られるものです。ANA8/3期の黄色は爪に火を点すようなやり繰りをしてきた企業の破綻直前に現れる型です。それは 現預金<月商÷2 です。しかしANAの場合理想的な格付+5で、実質損益資金、真正損益資金、正味損益資金、そして安定資金も良く、たまたま超短期資金の有価証券への支出が多く手許のCashを使ったために黄信号が点灯したと思われます。

                                           吊し柿今年も主は腰伸ばす

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.3 リーマンショックの影響

2009年10月19日14:30:15

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.3 リーマンショックの影響

緑 売上高、純利益よりみると、JALの方がリーマンショックが大きかったようね。格付はJAL-2YANAが+2です。日の丸のフラッグキャリアであるJAL2Yであることは困ったことじゃない? 

父 20091014日の日経第1面はJALの経営再建を巡り、前原国交相直轄のJAL再生タスクフォースの纏めた素案を報道している。その③に約3,300億円の年金積立不足云々とある。そして少なくとも2,500億円規模の債務超過ありとしている。これらの数字は20096月に公表された有価証券報告書上には現れていない。しかしCashmirrorの格付はJALの格付が-2で資金状態の黄信号が3期連続していることを示している。これは破綻が近いことを暗示している。「株価の位置を知る」シートからJAL3期の高値と安値は貸借対照表より導かれた基礎株価の下に位置している。これは株式市場が既にJAL を見捨てていることを示している。財務レバレッジの高さはかかるショックに弱いことを語っている。財務レバレッジはANAJALと近似である。8/3ANAは+5の優良な格付けであったので、ショックに対する耐性は強かった。

                                          ポイントの切替はりけり身に入み来

添付ファイル

2009年10月19日15:44:43

緑 ファイルの添付を忘れたでしょう、パパ?
父 ごめん、ごめん。クリックしてください。JAL & ANA DATA 20091019.xls(ファイルサイズ:165KB)


資金会計原論Theory of Cash by Funds17.4 リーマンショックの影響

2009年10月20日09:36:53

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.4 リーマンショックの影響

緑 いよいよJAL再生タスクフォースが動き出したわね。

父 資金スコアボードから8/3期に増えた資本金1,498億円は手付かずで9/3期に現預金として繰越されたが、リーマンショックで減った実質損益資金(Cash損失)1,032億円の補填に使用されてしまった。それは現預金1,913億円の減少として現れている。JAL再生タスクフォースが「1,500億円規模の出資を含む最大4,800億円の新規資金調達」を素案として提示していることを理解することができる。ちなみにANAの減った実質損益資金(Cash損失)1,878億円は長短借入金で補填された。

次に財務レバレッジを見ましょう。

財務レバレッジ

7/3

8/3

9/3

JAL

3.9

3.9

3.6

ANA

3.0

3.1

3.4

財務レバレッジからみると、リーマンショックでJALは良くなり、ANAは悪化している。JALは減らした現預金の中から長期借入金を431億円返済している。こんなに現預金を減らしても未だ 現預金>損益資金 の姿は変わらず資金状態の黄信号は点きっぱなしです。JALの現預金はANA2.7倍で、損益資金はANA1.5分の1です。JALの財務レバレッジの改善は手放しで喜べません。ANAはとっさのファイナンスでリーマンショックを切り抜けましたが、財務レバレッジの改善が急務です。

                                          不況かなしかと手にある新松子

10月19日Blogの訂正

2009年10月21日09:15:29

父 10月19日に”「株価の位置を知る」シートからJAL3期の高値と安値は貸借対照表より導かれた基礎株価の下に位置している。これは株式市場が既にJAL を見捨てていることを示している。”と書きましたが、これに誤りがありました。発行済株式数を億単位の金額単位に合わせるところで、1桁間違ってしまったために基礎株価が1桁多く表現されてしまいました。基礎株価は添付ファイル数字の10分の1が正しいものとなります。あとで正しい添付ファイルに訂正します。10月19日のコメントは誤ったデータに基づいているので削除します。

ご迷惑をかけたことをお詫びします。削除後の10月19日Blogを下に載せます。
 

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.3 リーマンショックの影響

緑 売上高、純利益よりみると、JALの方がリーマンショックが大きかったようね。格付はJAL-2YANAが+2です。日の丸のフラッグキャリアであるJAL2Yであることは困ったことじゃない? 

父 20091014日の日経第1面はJALの経営再建を巡り、前原国交相直轄のJAL再生タスクフォースの纏めた素案を報道している。その③に約3,300億円の年金積立不足云々とある。そして少なくとも2,500億円規模の債務超過ありとしている。これらの数字は20096月に公表された有価証券報告書上には現れていない。しかしCashmirrorの格付はJALの格付が-2で資金状態の黄信号が3期連続していることを示している。これは破綻が近いことを暗示している財務レバレッジの高さはかかるショックに弱いことを語っている。財務レバレッジはANAJALと近似である。8/3ANAは+5の優良な格付けであったので、ショックに対する耐性は強かった。


資金会計原論Theory of Cash by Funds17.5 リーマンショックの影響

2009年10月22日09:06:37

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.5 リーマンショックの影響

次に財務レバレッジを見ましょう。

財務レバレッジ

7/3

8/3

9/3

JAL

3.9

3.9

3.6

ANA

3.0

3.1

3.4

財務レバレッジからみると、リーマンショックでJALは良くなり、ANAは悪化している。JALは現預金から長期借入金を431億円返済している。Cash損失額1,032億円(実質損益資金の赤字額)を現預金で穴埋めし、更に長期借入金431億円を返済したのに未だ 現預金>損益資金 の姿は変わらず、資金状態の黄信号は点きっぱなしです。JALの現預金はANA2.7倍で、損益資金はANA1.5分の1です。JALの財務レバレッジの改善は手放しで喜べません。ANAはとっさのファイナンスでリーマンショックを切り抜けましたが、財務レバレッジの改善が急務です。

緑 資金スコアボード・グラフを見ると、JALANAも目立つのは長期借入金と固定投資ね、

父 そうだ、いつも言っていっているように資金バランスグラフの大きい資金がその企業の特徴となる。1機何十億円もする飛行機がCashを産むわけだから固定投資が大きくなり、その購入資金としての長期借入金が大きくなる。この2資金がJALANAの特徴となる。こういった産業は常に増資を考えていかなくては財務レバレッジが過大になってしまう。

                                          銀杏のしかとありけり茶碗蒸

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.6 リーマンショックの影響

2009年10月23日09:15:24

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.6 リーマンショックの影響

緑 添付ファイルの借入余力・付加価値シートで両社の力を説明して、パパ。
JAL & ANA DATA 20091019.xls(ファイルサイズ:173KB)

父 このテストは調達に無理はないか、固定投資は順調に回収されているかを診る重要なテストだ。長短借入金の平均返済年数を10年とし、固定投資平均回収年数を10年と見た指標です。10年に異議ある方は企業の実態に合わせて変更していただいて結構です。先ず借入金返済能力テストから見ましょう。リーマンショックの9/3期は⊿Gが赤字なので、両社とも借入負担余力がありません。8/3期から検討に入ります。リーマンショック前の実力を比較検討してみます。リーマンショックの影響については後述します。

                                          パンタグラフ火花を発すうそ寒し

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.7 リーマンショックの影響

2009年10月26日09:11:55

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.7 リーマンショックの影響

緑 借入金の返済余裕は減価償却費から生まれるの?

父 8/3期のJALの正味コストは減価償却費より大です。ANAの正味コストは減価償却費より小です。ANAは返済余裕度が1.50で1より大で余裕があります。JALの返済余裕度は0.91で1より小で余裕度は低い。リーマンショック後の9/3期の余裕度はJAL1.00ANA1.00です。JALは良くなりましたが、ANAは悪くなりました。その原因はJAL8/3期の増資額が手付かずで9/3期に繰越され実質損益資金の減少額(Cash損失)を穴埋めし残りを長期借入金返済に充てたため正味コストが下がったためです。ANAの悪化の原因はショックで開いた実質損益資金の減少額(Cash損失)を長短の借入金で急場を凌いだために正味コストが上昇したためです。減価償却費が非常に少ない業態は例外ですが、返済余裕度は1より大きいことが良いのです。

  JALの実質損益資金減少額1,032億円(Cash損失)は借入負担余力1,029と近似、

ANAの実質損益資金減少額1,87億円(Cash損失)は借入負担余力1,777億円と近似です。興味深い近似です。

                                          晩秋の銀座彩る女達

閑話休題 2020年のオリンピックは日米の共催で

2009年10月27日09:44:23

閑話休題 2020年のオリンピックは日米の共催で

来月オバマ大統領来日ときいています。日本は広島・長崎の2都市での開催を望んでいます。2都市での開催はオリンピック・ルール違反だそうですが、この2都市に世界中の人が集まり、原爆資料館に入れば、大統領の核廃絶世界実現への強力なマイルストーンになります。オリンピック・ルール違反のついでにもう一つ日米共同開催というルール違反の実現を希望します。原爆投下国と原爆被害国が平和の祭典、オリンピックを共催することに意義があります。オリンピック開催の費用も日米で負担すれば原爆を投下したアメリカにとっても極めて自然な贖罪の機会になると思います。このことはノーベル平和賞を授与された大統領にとってもプライオリティの高い課題となる筈です。

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.8 リーマンショックの影響

2009年10月28日09:33:02

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.8 リーマンショックの影響

緑 8/3期のJAL,ANA両社の付加価値について説明して、パパ。

父 150億円以上もする飛行機の運用を業とする両者の固定投資額は大きい、そしてその原資として長期借入金が大きい。このことは資金スコアボードの資金バランスグラフからはっきり解る。大きな資金項目がその企業の特徴となることは、繰り返し述べてきた。

この大きな固定投資が付加価値を産むかどうかが企業存続の鍵となる。両社の8/3期の付加価値率(付加価値がCash利益の何%かをみる指標)を見ると、JAL12.5%ANA57.8%ANAが優位である。2期の付加価値合計を比較してみると、JALが-1,005億円で、ANAが-453億円で、付加価値視点でのリーマンショックのダメージはJALが大きい。

 過去5期の投資活動によるキャッシュフローの合計額を比較すると下表にる。

5年間の投資活動によるキャッシュフロー     単位:億円

 

5/3

6/3

7/3

8/2

9/3

合計

JAL

215

993

562

262

1,057

3,089

ANA

1,692

464

1,283

698

1,111

5,248

この表の数字が全部航空機に投資されたのではないが、ジャンボ機150億円と仮定すると、5期の投資額はJAL61機分に、ANA104機分に相当する。JALの投資の遅れは資金が不足していたためと思われる。JALは機体の老齢化のため燃費が悪く経営を圧迫した。

                                          晩秋の花舗静謐の色豊か

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.8 リーマンショックの影響

2009年10月29日09:53:38

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.8 リーマンショックの影響

緑 資金会計の視点から2社のリーマンショックを纏めてください、パパ。

父 JAL & ANA DATA 20091019.xls(ファイルサイズ:188KB)JAL,ANA2社の資金別損益計算書と資金別貸借対照表を比較しやすいように別のシート「集約表」に纏めました。先ず資金別損益計算書のほうから見ます。9/3期はリーマンショックのあった期なので、8/3期で比較してみることにします。決算書の数字を見ると、売上はJAL のほうが多いが営業利益率はANAのほうが良い。JALの実質損益資金(Cash利益)の少ないのは致命的です。この期にJAL1,498億円の増資をしました。この増資がなかったらJALはリーマンショックを乗り切れなかったでしょう。この増資は結果的に言えば、リーマンショックを予定して前もって資金手当をしたようなことになったということです。ANAはリーマンショックを長短借入金で乗り切りました。JALの増資資金で増えた現預金1,559億円は9/3期に繰越され前からあった現預金354億円の合計1,913億円の現預金とその他(超短期資金)の調達1,177億円とが一緒になって、Cash損失1,032億円(赤字実質損益資金、リーマンショック損)の補填、固定投資に1,675億円(この投資は増資目論見書にあったものと推定)、長期借入金返済に431億円に充てました。

JALは増資額1,498億円がなっかたら、ANAのように借入金に頼らなくては破綻したでしょう、或いは借入金に頼ることもできなかったかも知れません。

                                          後髪束ね晩秋の花捌き

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.10 リーマンショックの影響

2009年10月30日09:07:51

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.10 リーマンショックの影響

緑 JALの増資は良いタイミングだったのね。

父 「集約表」をスクロールダウンすると、8/3期のJALの増資を長期借入金にした場合の比較表が出てくる。増資額を長期借入金で調達したと仮定したものが仮資金B/Sです。増資した場合にはANAより良かった真正損益資金(オーナーズエクイティ)が2,997億円と大幅に減少します。長期借入金はANAよりやや多かったのが11,276億円と非常に多くなり、財務レバレッジは3.6から4.9に悪化する。ちなみにANA9/3期の財務レバレッジは3.4でした。

JAL8/3期と9/3期に合計で1,642億円の長期借入金の返済をしています。これは借入金を持分に切替えるDES(デッド・エクイティ・スワップ)だったと思います。予見できないリーマンショックが起きたのですが、結果論から言うとDESの金額は中途半端であったと言えるでしょう。しかしあの増資がなかったらJALはリーマンショックを乗り切ることはできなかったでしょう。

                                          晩秋の色乗せ列車行きかはす