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奥井 英作

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資金会計原論Theory of Cash by Funds 23 ローソン子会社の不正

6月4日10:59:47

資金会計原論Theory of Cash by Funds 23 ローソン子会社の不正

緑 最近ローソン子会社の不正事件が新聞紙面を賑わしているはね。

父 この事件はローソンの子会社のローソンエンターメディア(LEM)で起きました。LEMはコンサートチケット販売会社で、200712月から20101月の間にLEMの専務等がコンサート企画会社に支払うチケット代金に2ヶ月から6ヶ月のサイトがあるのを利用して不正流用を計画し、グッズ販売会社プレジールをLEMとチケット販売会社との間に介在させ、プレジールに345億円を送金しその内の約115億円を不正流用した事件です。その115億円のうち9千万円は山岡元専務が自宅の住宅ローンの返済に充てたという。

  なにが元専務等に悪の芽を目覚めさせたか資金バランスグラフで検証してみましょう。

                                          水しぶきマイナスイオンの虹懸かる

資金会計原論Theory of Cash by Funds 23.1 ローソン子会社の不正

6月8日18:31:25

資金会計原論Theory of Cash by Funds 23.1 ローソン子会社の不正
緑 LEMの資金バランスにどんな奇異な姿が見えているの、パパ?
父 百聞は一見にしかず、先ず添付のファイルLEM DATA.xls(ファイルサイズ:111.5KB)の資金スコアボードの2009年2月期に終わる3期分のシートを開けて下さい。まず3期の資金別貸借対照表の資金バランスを見ましょう。3期とも現金預金が一番目に付きます。このCashは2ヶ月~6ヶ月の買掛債務から生じている筈です。しかし2009年2月期の売上原価は31億円に対して31カ月分のCash、80億円があります。これを買掛債務でみると29ヶ月分の買掛債務があり、買掛債務とほぼ同額のCashがあることになります。平均2~6ヶ月の買掛サイトというその業界の常識がなくても2年を越すサイトは信じられない長期サイトです。ここに不正が芽生える素地があったと考えられます。私は資金スコアボードの資金バランスグラフを見て異常を感じました。あらゆる異常は監査の入口という監査人の格言が思い出されていたならば、2007年2月期の段階で不正の予防措置を講ずることができていたかもしれません。プレジールをLEMとコンサート企画会社との間に介在せしめたのは、豊富なCashのつまみ食いを容易ならしめるためのものと推察されます。プレジール介在前からの異常な長期サイトは不正の存在を暗示し、2010年4月14日に提出された2009年2月期の訂正有価証券報告書では回収不能不正による債権として、19億円が特別損失に計上されています。
                           目瞑れば子供の頃の虹懸かる 

資金会計原論Theory of Cash by Funds 23.2 ローソン子会社の不正

6月18日16:39:44

資金会計原論Theory of Cash by Funds 23.2 ローソン子会社の不正
緑 この資金バランスのどこに不正が芽生えるヒントがあるの、パパ?
父 売上高の全額がCashとして残っている会社を単純に良い会社といえるでしょうか。外資系の企業では本国から内部監査人が定期的にやってきます。必要以上のCashがあると、経理部長はマイナス評価されます。Cashは預金利息以上の稼がないし、不正の危険に曝されています。現先取引等に変えておくのも良いし、売上総利益率が50%前後あるのですから、もっと本業に力を注ぐとか、買掛債務のサイトを短くして現金割引を得るとか経営者として経営委託者の期待に応える道があるはずです。アメリカには支払条件に2/10/30というようなのがあるときいています。これは 2% discount, within 10 days, net 30 days と読むのです。10日以内にお支払いただければ、2%割引きます、ただし最終の支払期限は30日後です。というのです。早く支払う客には現金割引で報いようという、Cashにたいする厳格な姿勢が読み取れます。2年にも及ぶ支払サイトは信じられません。利益や流動比率に幻惑されてはいけません。監査人は2007年2月期の資金バランスをみて監査に踏み込んでいたら不正を暴いていたかも知れません。2008年2月期の資金別損益計算書のその他流動資金も異常です。
              故郷の虹の祝福受けにけり

閑話休題 製造業のアジアへの進出

6月18日17:09:26

閑話休題 製造業のアジアへの進出
緑 随分分厚い本を読んでいるのね、パパ。
父 この本は 牟田学著 社長の売上戦略 日本経営合理化協会出版 \9,800 税別 です。2002年に出版されたものですが、リーマンショックで喘いでいる日本の現状を予言しているのに驚嘆しました。

  これからはこの本の引用です。「最初は、単なる労働集約型事業が賃金の安価なアジア諸国に進出しただけだったが、徐徐に、その質が変化し、今では部品も、完成品も、、、、と、ことごとくの事業が進出している。同業の一社が原価の安い商品を日本に持ってくれば、他の同業の会社は生存できないので、競って進出している。
  消費者が100%で買う商品は、その製造業者に70%の取り分ある。もし、問屋を通したら問屋が10%を取り、小売業者が20%を取る。つまり、70%を取る製造業が、最も多くの労働人口を食べさせいることを全員がシッカリと自覚していなければならない。何の歯止めも、規制もなく、中国化やアジア化すれば、多くの失業者を生んだり、同業他社を倒すことにもなる。日本は政治家も事業家さえも、自覚せず、間違った方向に向かっている。」
  引用を終わる。リーマンショック後の立ち直りの世界を鳥瞰すると、日本の回復が著しく遅れている。戦略無き日本の姿を露呈していると言える。
                小さき虹生まれし路地に子等の声 


資金会計原論Theory of Cash by Funds 24 野に伏す龍が目を覚ます時

6月25日12:02:02

資金会計原論Theory of Cash by Funds 24 野に伏す龍が目を覚ます時
緑 会社の実力を「見える化」キャッシュミラー経営分析 が近日中に出版されるそうね、パパ。
父 10年以上、野に伏していた龍が目覚める時がきました。比率分析に依存してきた今までの経営分析の常識が通用しなくなります。Cashの鏡に反射される資金別に分けられたCashの反対勘定が資金バランスグラフとして「見える化」されました。そのグラフを読み解くことによって今まで見えなかったものが見えてきます。
  添付FOI スコアボード.xls(ファイルサイズ:43.5KB)をご覧下さい。通常3期分の表やグラフが出ますが、最近新聞紙上を賑わせたFOI社の財務諸表は2期分しか入手できませんでした。FOIは東証マザーズに2009年11月に上場しました。FOIは半導体製造装置メーカーで添付資金スコアボードは上場直前の2期のものです。2010年6月10日の日本経済新聞39面は2009年3月期の売上高118億円の内「本当の売上は3億円しかなかった」と2010年3月期ともども「2期続けて100億円水増しか」と報じています。
  添付資金スコアボードグラフの左端のグラフは3期を標準とするシステムのために出現した不要なものなので無視して下さい。
                                 座を締める大柄の人団扇持ち


資金会計原論Theory of Cash by Funds 24.1 野に伏す龍が目を覚ます時

6月26日15:06:31

資金会計原論Theory of Cash by Funds 24.1 野に伏す龍が目を覚ます時
緑 キャッシュミラーについての説明はあまりにも集約されているのじゃない?ここは一番大切なところなので、敷衍してくれない?パパ。
父 そうだね、緑。資金スコアボードの表を見てください。この表はニュー資金別貸借対照表を要約したもので、通常前々期資金別貸借対照表、前期資金別損益計算書、前期資金別貸借対照表、今期資金別損益計算書、今期資金別貸借対照表と並びます。そのボトムラインは前々期Cash残高、前期Cash増減額、前期Cash残高、今期Cash増減額、今期Cash残高とならんでいます。即ち、2期間のCashそのもののFlowです。 
  ボットムラインから上はCashの相手勘定を資金別に纏めたものです。すべての貸借対照表勘定の墓場はCashです。Cashになるまでの仮の姿です。その資金別の姿をグラフにしたものが資金スコアボードの資金バランスグラフです。嘘をつかないCashの鏡に反映した資金バランスは実相を語り欺きません。
                                        音も無く日傘流るゝ塀の上

資金会計原論Theory of Cash by Funds 24.2 野に伏す龍が目を覚ます時

6月27日11:19:02

資金会計原論Theory of Cash by Funds 24.2 野に伏す龍が目を覚ます時
緑 資金スコアボードの資金バランスグラフの見方を教えて、パパ。
父 資金バランスグラフはかなり昔にアメリカで語られた Where got and where gone Statement の考えをグラフ化したものです。右側が資金の出所で、左側が資金の行方です。各社それぞれの資金バランスがあり、一番大きな面積を占める資金にその企業の特徴があるので、一番大きな資金に注目して下さい。FOIの場合は売上仕入資金です。運用側は固定投資が殆どないので、売上仕入資金、棚卸資産、現預金の運転資金から成り、調達側の約半分が自己資金で、残りの半分が長短借入金からなっています。2009年3月期の数字で流動比率を計算すると236%と超優良比率がでます。負債比率は110%とかなりの好比率です。2008年3月期より売上高は25%も増えました、当期利益は35%減でしたが、5億円の当期利益を計上しました。
比率分析からみると問題のない会社に起きた100億円もの粉飾が2010年5月まで発覚しなかったのは何故でしょうか。当期利益等実数字については添付ファイルFOI ニュー資金別貸借対照表.xls(ファイルサイズ:163.5KB)をご参照下さい。
                                    賑はひの去りて一息毛虫降る

資金会計原論Theory of Cash by Funds 24.3 野に伏す龍が目を覚ます時

6月28日15:28:47

資金会計原論Theory of Cash by Funds 24.3 野に伏す龍が目を覚ます時
緑 資金バランスグラフの一番大きい資金が売上仕入資金であることは解りました。この大きさがどんな意味合いを持っているのですか?パパ。
父 会社は事業経営をして生きているんだ。その結果としてより大きなCashを産まなくては給料も払えないし、新規投資もできないし、借入金の返済もできない。
そんな大切な営業活動の結果、Cashが産まれたかを見る指標が⊿実質損益資金です。
⊿は増し分で実質損益資金の増えた額です。換言すればCash利益です。いくら当期利益が計上されていても、Cash利益が増えていない状態が何期も続けば倒産します。FOIの実質損益資金は2008年3月期末には既に赤字で2009年3月期には赤字が39億円増え、実質損益資金の残高は223億円の赤字となりました。5億円の当期利益が計上されているのに、Cashの赤字は39億円でした。
  損益資金、売上仕入資金、棚卸資産の関係を資金バランスグラフでみてみましょう。損益資金は通常黒字で調達側にきます。売上仕入資金は通常売掛債権のサイトが買掛債務のサイトより大きいので赤字として運用側にきます。棚卸資産は赤字で運用側にきます。2009年3月期グラフの損益資金の下線を運用側に延長して下さい。この延長線から棚卸資産の下線までの巨大な面積がその期の営業終了時点でCash化されない資金223億円です。資本金の約2倍です。流動比率を良く見せていた数字は巨大な売掛債権だったのです。
                                        半纏の右往左往や鬼灯市

資金会計原論Theory of Cash by Funds 24.4 野に伏す龍が目を覚ます時

6月29日10:57:09

資金会計原論Theory of Cash by Funds 24.4 野に伏す龍が目を覚ます時
緑 何故資金バランスグラフの売上仕入資金が巨大となったんですか、パパ?
父 先ず頭によぎることは、売掛金の相手勘定は何かということです。当然それは売上高でしょう。2010年6月10日の日経39面は2009年3月期の売上高118億円のうち本当の売上高は3億円であったと報じています。2009年3月期のニュー資金別貸借対照表をご覧下さい。買掛債務は売上原価の1ヶ月強しかないのに売掛債権は月商の23ヶ月分、ほゞ2年分です。2年後でなければ回収できない売掛金は流動資産ではなく投資か不良債権と考えるのが妥当でしょう。この資金の穴は長期短期借入金で補填されています。これら借入金の返済源資はあるのでしょうか。正味損益資金(オーナー残存資金)が20億円減少し、107億円の赤字となりました。さらなる借入の必要こそあれ、返済源資はありません。
  2年分の売掛債権を持っている状態は2008年3月期から変わりません、もっと早く手を打っていれば、2009年11月東証マザーズ上場時に株主となった、一般投資家の悲劇を回避できたものと、残念でなりません。次にキャッシュミラーのいろいろの分析結果を見ることにしましょう。
                                        仙人掌や踊る影絵の息遣い