11月4日10:14:21
資金会計原論Theory of Cash by Funds17.12 リーマンショックの影響
緑 企業の核である固定投資が毎期順調に回収され付加価値を産み続けることが企業経営の目標で安定した借入金返済能力とバランスすることが大切だと思うんだけど?
JAL,ANA file for Blog110409.xls(ファイルサイズ:25.5KB)
父 凄いこと言うね、緑。10月28日のブログで5/3期から9/3期の5期の投資活動によるキャッシュフローの合計額をジャンボ機1機50億円と仮定して、JALが61機相当の支出をし、ANAは104機相当分の支出があった、と述べた。9/3期は両社とも赤字であったので、8/3期の借入金返済年数を10年と仮定し、固定投資回収年数も10年と仮定して、
両社の借入金返済余裕度と付加価値率を対比してみるとJALの返済余裕度(減価償却費/返済額)はJALが99.8%で、さらなる借入余裕がないのに対しANAは154.4%でまだまだ余裕がある。
火縄銃森に轟く明治節|この記事のURL│
11月2日09:22:42
資金会計原論Theory of Cash by Funds17.11 リーマンショックの影響
緑 ここいらでJALとANAのリーマンショックを資金会計視点で纏めて下さい、パパ。
父 先ずJALの格付はリーマンショックで-1から-2に下がりました。ANAは+5から+2に下がりました。JALは±0を挟んでANAより4ポイント下です。「現預金>損益資金」と言う資金状態の警戒信号が点灯しています。そしてその状態が3期続いています。それは収益性が悪いので、次期に資金不足から多額の予定支出が控えていると見るべきだと思います。JALの真正損益資金(オーナーズエクイティ)はANAより若干良いですが、それは増資のためで、増資資金を長期借入金で調達したと仮定すると、真正損益資金はANAの72%しかないことになります。JALの修正安定資金は赤字で超短期資金でバランスをとり、多額の現預金を残しています。「その他」の中身を分析する必要があります。最後に2社の現預金と損益資金を対比します。
|
JAL 単位:億円 |
7/3 |
8/3 |
9/3 |
|
損益資金 |
1,790 |
1,920 |
833 |
|
現預金 |
1,991 |
3,550 |
1,637 |
|
ANA 単位:億円 |
7/3 |
8/3 |
9/3 |
|
損益資金 |
1,686 |
2,998 |
1,216 |
|
現預金 |
1,728 |
516 |
596 |
|この記事のURL│
10月30日09:07:51
資金会計原論Theory of Cash by Funds17.10 リーマンショックの影響
緑 JALの増資は良いタイミングだったのね。
父 「集約表」をスクロールダウンすると、8/3期のJALの増資を長期借入金にした場合の比較表が出てくる。増資額を長期借入金で調達したと仮定したものが仮資金B/Sです。増資した場合にはANAより良かった真正損益資金(オーナーズエクイティ)が2,997億円と大幅に減少します。長期借入金はANAよりやや多かったのが11,276億円と非常に多くなり、財務レバレッジは3.6から4.9に悪化する。ちなみにANAの9/3期の財務レバレッジは3.4でした。
JALは8/3期と9/3期に合計で1,642億円の長期借入金の返済をしています。これは借入金を持分に切替えるDES(デッド・エクイティ・スワップ)だったと思います。予見できないリーマンショックが起きたのですが、結果論から言うとDESの金額は中途半端であったと言えるでしょう。しかしあの増資がなかったらJALはリーマンショックを乗り切ることはできなかったでしょう。
晩秋の色乗せ列車行きかはす|この記事のURL│
10月29日09:53:38
資金会計原論Theory of Cash by Funds17.8 リーマンショックの影響
緑 資金会計の視点から2社のリーマンショックを纏めてください、パパ。
父
JAL & ANA DATA 20091019.xls(ファイルサイズ:188KB)JAL,ANA2社の資金別損益計算書と資金別貸借対照表を比較しやすいように別のシート「集約表」に纏めました。先ず資金別損益計算書のほうから見ます。9/3期はリーマンショックのあった期なので、8/3期で比較してみることにします。決算書の数字を見ると、売上はJAL のほうが多いが営業利益率はANAのほうが良い。JALの実質損益資金(Cash利益)の少ないのは致命的です。この期にJALは1,498億円の増資をしました。この増資がなかったらJALはリーマンショックを乗り切れなかったでしょう。この増資は結果的に言えば、リーマンショックを予定して前もって資金手当をしたようなことになったということです。ANAはリーマンショックを長短借入金で乗り切りました。JALの増資資金で増えた現預金1,559億円は9/3期に繰越され前からあった現預金354億円の合計1,913億円の現預金とその他(超短期資金)の調達1,177億円とが一緒になって、Cash損失1,032億円(赤字実質損益資金、リーマンショック損)の補填、固定投資に1,675億円(この投資は増資目論見書にあったものと推定)、長期借入金返済に431億円に充てました。
JALは増資額1,498億円がなっかたら、ANAのように借入金に頼らなくては破綻したでしょう、或いは借入金に頼ることもできなかったかも知れません。
後髪束ね晩秋の花捌き|この記事のURL│
10月28日09:33:02
資金会計原論Theory of Cash by Funds17.8 リーマンショックの影響
緑 8/3期のJAL,ANA両社の付加価値について説明して、パパ。
父 1機50億円以上もする飛行機の運用を業とする両者の固定投資額は大きい、そしてその原資として長期借入金が大きい。このことは資金スコアボードの資金バランスグラフからはっきり解る。大きな資金項目がその企業の特徴となることは、繰り返し述べてきた。
この大きな固定投資が付加価値を産むかどうかが企業存続の鍵となる。両社の8/3期の付加価値率(付加価値がCash利益の何%かをみる指標)を見ると、JALが12.5%、ANAが57.8%でANAが優位である。2期の付加価値合計を比較してみると、JALが-1,005億円で、ANAが-453億円で、付加価値視点でのリーマンショックのダメージはJALが大きい。
過去5期の投資活動によるキャッシュフローの合計額を比較すると下表にる。|
|
5/3 |
6/3 |
7/3 |
8/2 |
9/3 |
合計 |
|
JAL |
215 |
993 |
562 |
262 |
1,057 |
3,089 |
|
ANA |
1,692 |
464 |
1,283 |
698 |
1,111 |
5,248 |
この表の数字が全部航空機に投資されたのではないが、ジャンボ機1機50億円と仮定すると、5期の投資額はJALが61機分に、ANAが104機分に相当する。JALの投資の遅れは資金が不足していたためと思われる。JALは機体の老齢化のため燃費が悪く経営を圧迫した。
晩秋の花舗静謐の色豊か|この記事のURL│
10月27日09:44:23
閑話休題 2020年のオリンピックは日米の共催で
来月オバマ大統領来日ときいています。日本は広島・長崎の2都市での開催を望んでいます。2都市での開催はオリンピック・ルール違反だそうですが、この2都市に世界中の人が集まり、原爆資料館に入れば、大統領の核廃絶世界実現への強力なマイルストーンになります。オリンピック・ルール違反のついでにもう一つ日米共同開催というルール違反の実現を希望します。原爆投下国と原爆被害国が平和の祭典、オリンピックを共催することに意義があります。オリンピック開催の費用も日米で負担すれば原爆を投下したアメリカにとっても極めて自然な贖罪の機会になると思います。このことはノーベル平和賞を授与された大統領にとってもプライオリティの高い課題となる筈です。|この記事のURL│
10月26日09:11:55
資金会計原論Theory of Cash by Funds17.7 リーマンショックの影響
緑 借入金の返済余裕は減価償却費から生まれるの?
父 8/3期のJALの正味コストは減価償却費より大です。ANAの正味コストは減価償却費より小です。ANAは返済余裕度が1.50で1より大で余裕があります。JALの返済余裕度は0.91で1より小で余裕度は低い。リーマンショック後の9/3期の余裕度はJALが1.00、ANAが1.00です。JALは良くなりましたが、ANAは悪くなりました。その原因はJALが8/3期の増資額が手付かずで9/3期に繰越され実質損益資金の減少額(Cash損失)を穴埋めし残りを長期借入金返済に充てたため正味コストが下がったためです。ANAの悪化の原因はショックで開いた実質損益資金の減少額(Cash損失)を長短の借入金で急場を凌いだために正味コストが上昇したためです。減価償却費が非常に少ない業態は例外ですが、返済余裕度は1より大きいことが良いのです。
JALの実質損益資金減少額1,032億円(Cash損失)は借入負担余力-1,029と近似、
ANAの実質損益資金減少額1,87億円(Cash損失)は借入負担余力-1,777億円と近似です。興味深い近似です。
晩秋の銀座彩る女達|この記事のURL│
10月23日09:15:24
資金会計原論Theory of Cash by Funds17.6 リーマンショックの影響
緑 添付ファイルの借入余力・付加価値シートで両社の力を説明して、パパ。
JAL & ANA DATA 20091019.xls(ファイルサイズ:173KB)
父 このテストは調達に無理はないか、固定投資は順調に回収されているかを診る重要なテストだ。長短借入金の平均返済年数を10年とし、固定投資平均回収年数を10年と見た指標です。10年に異議ある方は企業の実態に合わせて変更していただいて結構です。先ず借入金返済能力テストから見ましょう。リーマンショックの9/3期は⊿Gが赤字なので、両社とも借入負担余力がありません。8/3期から検討に入ります。リーマンショック前の実力を比較検討してみます。リーマンショックの影響については後述します。
パンタグラフ火花を発すうそ寒し|この記事のURL│
10月22日09:06:37
資金会計原論Theory of Cash by Funds17.5 リーマンショックの影響
次に財務レバレッジを見ましょう。
|
財務レバレッジ |
7/3 |
8/3 |
9/3 |
|
JAL |
3.9 |
3.9 |
3.6 |
|
ANA |
3.0 |
3.1 |
3.4 |
財務レバレッジからみると、リーマンショックでJALは良くなり、ANAは悪化している。JALは現預金から長期借入金を431億円返済している。Cash損失額1,032億円(実質損益資金の赤字額)を現預金で穴埋めし、更に長期借入金431億円を返済したのに未だ 現預金>損益資金 の姿は変わらず、資金状態の黄信号は点きっぱなしです。JALの現預金はANAの2.7倍で、損益資金はANAの1.5分の1です。JALの財務レバレッジの改善は手放しで喜べません。ANAはとっさのファイナンスでリーマンショックを切り抜けましたが、財務レバレッジの改善が急務です。
緑 資金スコアボード・グラフを見ると、JALもANAも目立つのは長期借入金と固定投資ね、
父 そうだ、いつも言っていっているように資金バランスグラフの大きい資金がその企業の特徴となる。1機何十億円もする飛行機がCashを産むわけだから固定投資が大きくなり、その購入資金としての長期借入金が大きくなる。この2資金がJALとANAの特徴となる。こういった産業は常に増資を考えていかなくては財務レバレッジが過大になってしまう。
銀杏のしかとありけり茶碗蒸|この記事のURL│
10月21日09:15:29
父 10月19日に”「株価の位置を知る」シートからJALの3期の高値と安値は貸借対照表より導かれた基礎株価の下に位置している。これは株式市場が既にJAL を見捨てていることを示している。”と書きましたが、これに誤りがありました。発行済株式数を億単位の金額単位に合わせるところで、1桁間違ってしまったために基礎株価が1桁多く表現されてしまいました。基礎株価は添付ファイル数字の10分の1が正しいものとなります。あとで正しい添付ファイルに訂正します。10月19日のコメントは誤ったデータに基づいているので削除します。
ご迷惑をかけたことをお詫びします。削除後の10月19日Blogを下に載せます。
緑 売上高、純利益よりみると、JALの方がリーマンショックが大きかったようね。格付はJALが-2Y、ANAが+2です。日の丸のフラッグキャリアであるJALが-2Yであることは困ったことじゃない?
父 2009年10月14日の日経第1面はJALの経営再建を巡り、前原国交相直轄のJAL再生タスクフォースの纏めた素案を報道している。その③に約3,300億円の年金積立不足云々とある。そして少なくとも2,500億円規模の債務超過ありとしている。これらの数字は2009年6月に公表された有価証券報告書上には現れていない。しかしCashmirrorの格付はJALの格付が-2で資金状態の黄信号が3期連続していることを示している。これは破綻が近いことを暗示している財務レバレッジの高さはかかるショックに弱いことを語っている。財務レバレッジはANAもJALと近似である。8/3期ANAは+5の優良な格付けであったので、ショックに対する耐性は強かった。
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