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奥井 英作

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資金会計原論Theory of Cash by Funds19.1 財務分析のKey Points

2010年1月19日10:29:27

資金会計原論Theory of Cash by Funds19.1 財務分析のKey Points

緑 実質損益資金がマイナスだと破綻への一里塚であるとの佐藤先生のご認識はキャッシュフロー計算書がわが国に本格的に導入される以前のもので、素晴らしいことと思っています。

父 実質損益資金という概念がしっかり根付いていれば、数々の悲劇は未然に防げたと思っている。我々の努力が足りなかったと反省しています。実質損益資金は[損益資金+売上仕入資金+棚卸資産]です。売上仕入資金は通常 売掛債権>買掛債権 なのでマイナスの場合が多い。棚卸資産は資金の運用なので常にマイナスです。

  実質損益資金がマイナスであることの意味は営業活動をすればするほど内部留保が減少し、終には払込資本金をも食い潰していきます。実質損益資金のマイナスは、胃潰瘍の状態で、血液の漏出が続けば命がもたなくなるのと同じなので、マイナスを止める手立てを講じなければなりません。損益資金がマイナスの場合は G—W—G’ の過程で G’<G となることを意味し、資本の循環過程でCashを産んでいないので、資本主義の原則に反し、事業をやる意義がありません。売上仕入資金と棚卸資産で実質損益資金がマイナスにならないように努力することが、経営者の務めです。

                                          政界のドンのやかたの鳥總松

資金会計原論Theory of Cash by Funds19 財務分析のKey Points

2010年1月18日09:22:58

資金会計原論Theory of Cash by Funds19 財務分析のKey Points

緑 日本だけがデフレの渦に巻き込まれているみたいね。

父 今年は我々にとって、この不況をどうやって乗り切っていくか、真剣に考えていかなければなららい。大枠のビジョンは画けていますが、先ず財務分析のKey Pointaを見詰めなおすことから始めたいと思います。ニュー資金別貸借対照表はBottom Lineの嘘をつかないCashに支持されたCashの相手勘定を資金別に纏めたものです。その資金バランスを読み解くので、比率分析では得られない有効な財務分析ができることは既にのべました。ニュー資金別貸借対照表には段階毎の資金の姿が出ています。各資金を一つ一つ解説すべきですが、そうすると総花的になり、Key Pointsがよく見えなくなるので、Key Pointsに絞ることにします。先ず実質損益資金から始めたいと思います。

                                松過ぎてもの皆安くなりにけり

閑話休題

2010年1月17日10:36:11

閑話休題

デフレ・スパイラルの脱却は雇用の促進にあると思います。その発想のなかに、社会の進歩の歯車を一つ戻すことも考えられるのではないでしょうか。今すぐに適切なモデルを提示できませんが、発想の引き金として一つのサンプルを画いてみようと思います。

一昔前、ビールは壜詰で売られていました。栓抜で王冠をたたき、栓を抜く瞬間のシューという音も楽しいものでした。壜のビールのほうが缶ビールより美味しかった。使用済みの壜は回収されて再使用され、キリンの壜にアサヒビールが入ったりしていました。壜の循環過程に多くの人手が関わっていました。そしてエコでもありました。時限立法でギヤーを一つ昔に戻すことなども、政策課題にして欲しいと思います。今は形振り構う余裕はない筈です。時限立法には副作用もあります。輸入ビールをどうするか、アルミ缶業界への影響をどうするか、輸送コストの増大をどうするか等々の問題もあります。必要なことは、雇用促進のために、一丸となって、智恵を出すことです。

                                          乗初は過去再生の走馬灯

資金会計原論Theory of Cash by Funds18 G―W―G’を見直しデフレシパイラル脱却を

2010年1月1日11:08:24

資金会計原論Theory of Cash by Funds18  GWG’を見直しデフレシパイラル脱却を

謹賀新年

緑 デフレ・スパイラルの真っ只中で迎える新年ね、パパ。

父 不況期の景気刺激策として金融が緩和され、低金利の資金が提供される。需要と供給の関係から、貸し出しは増えるはずですが、なかなか資金は市中に出回らない。

 リーマンショックでほとんどの企業が打撃を受けた。その赤字はオーナーズエクイティが減ったことを意味するから、増資による補填が考えられますが、既存株主の持分希薄化がブレーキとなるので新規投資に関連した借入金登場の余地がある。中小企業は既にオーバーローンで、金融が緩和されても新たな返済と金利の負担を考えると、うかつに新規借入に手をだせない。こんな立ちすくんだ状況の中で、デフレスパイラルは進行し、景気回復の兆しは見えてこない。

 かつてカール・マルクスは資本の循環をG(貨幣)―W(商品)―G’(貨幣)で説明した。G’G=⊿G(利潤)です。我々は利益ではなくCashの増えた額⊿Gがなければ資本主義は成り立たないと考えます。プラス⊿Gは給料が支払われ、配当や金利が支払われた残高です。この残高から借入金の返済や再投資が行われます。-⊿Gだと借入金の返済もできず、再投資もできません。オーナーズ・エクイティは欠けこみます。-⊿Gは債務超過への一里塚です。

 デフレ・スパイラルになると粗利益率が減り、給料の支払も困難になり、配当は勿論、金利の支払も滞り、悪循環が始まるのです。給与が減ったり人減らしにあったり、配当が無くなり、金利支払いもままならなくなると、消費が減り景気がさらに悪くなります。そこでモラトリアム法案が登場してきます。これは緊急の炊き出しと同じで助かる人も多いのですがデフレ脱却の根本的対策ではありません。⊿Gが大きくならないからです。

 景気浮揚策としてとられている政策は金融緩和と低金利政策で市中に金を満たすことですが、あまり効果が挙がっていません。事業経営者の脳裏にはアイデァが充満しているのにアイデァが活きて来ないのです。リーマンショックで自己資本は減少し、新たな借入による事業展開に結びつかないのです。これではデフレ・スパイラルから脱却できません。

 これを資本主義の終焉とみて、新たなパラダイムを目指すのなら話は別ですが、今こそ迂遠ですが資本主義の本質に目覚め⊿Gを大きくしていくことです。資本主義の本質は貨幣(G)が貨幣(G’)を産むことです。そのモメントとなるのが金利です。金利を正常化することです。預金には当座預金、普通預金、定期預金等ありますが、1,400兆円と言われる貯蓄額が、年平均3%で回ったら、42兆円が国民の手許に入ります。源泉税を取られるかも知れませんが、源泉税は税収であり、残りの金は元本が減らないので、自由に使えます。消費が増えます。デフレ・スパイラル脱却の起爆剤となります。

 良い政策にも必ずマイナスの反面があるものです。真っ先に考えられるのは新規事業計画をする企業に与える影響です。それについてはDESDead Equity Swap)や利子補給が考えられますが、デフレ・スパイラル脱出政策より、実行しやすく効果を挙げやすいと思います。

こような不景気の時代に金利を下げ、潤沢な資金を市中に供給することを当事者は当然のことと考えます。利子については議論しだすと経済学説も多岐に渉っていますが、しかし私は利子率の正常化が景気回復への近道であり資本主義の本道だと思っています。貨幣(G)により大きな貨幣(G’)を産ますことです。低金利、金融緩和という常識を打ち破る勇気が必要です。G’が増え、消費が増え、株価が上昇しキャピタルロスが減ってくればデフレ・スパイラル脱出です。

          たまゆらや破魔矢の鈴の遠ざかる          

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.16 今、何故、資金別貸借対照表なのか-続

2009年12月11日12:17:19

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.16 今、何故、資金別貸借対照表なのか-続

緑 企業は将来も継続して利益(⊿G)を獲得できるように、固定投資のメンテナンス、新規投資、除却をするでしょう、固定投資が回収されているかどうか、どうやって診るの?
父 緑、そこが今までの財務分析であまり触れられていなかったといってよい。ROAという指標はあったが、分母の総資産はあまりに漠然としていて、ROAを他企業と比較するには不向きです。シュマーレンバッハば購入暖簾を10年で償却したと聞いている。当時の静態論者も10年といっていたそうです。GE社の有名なウエルチCEOの前任者ジョウンズCEO(財務畑出身)は“定期預金の金利も稼げない事業からは撤退し預金にしておく方がましだ”としてGE社の財務基盤の整備をしたと、きいています。当時の日本の定期預金金利は5%でした。ジョウンズCEOの発言はROAを意識していたときいています。償却資産ばかりではなく、土地、無形固定資産、建設仮勘定、投資を含む固定投資を10年で回収できなければ、利益(⊿実質損益資金)が不足しているか、固定投資が過剰なのです。京セラはリーマンショックの期には⊿実質損益資金が赤字だったので付加価値はありませんが、その前年8/03期には固定投資を5年で回収でき、10年での付加価値率は63.8%と高率でした。添付ファイルData for Blog.xls(ファイルサイズ:75KB)の「格付他」シートの「投資効率」をご覧下さい。

結論として言えることは過去の堅実経営により京セラはリーマンショックを乗り切ることができました。まだ余裕がありますが、今後の良い舵取りを期待しています。

                                          侘助や掛軸の歌の秘めし恋

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.15 今、何故、資金別貸借対照表なのか-続

2009年12月9日15:46:10

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.15 今、何故、資金別貸借対照表なのか-続

緑 京セラはリーマンショックで売上高や利益は減ったけど、実質無借金じゃない? 

父 添付ファイルをData for Blog.xls(ファイルサイズ:70KB)開け、「格付他」シートをご覧下さい。リーマンショック(以後LSと称する)である9/03期の実質損益資金は1,703億円でした。これは前期末の実質損益資金11,321億円の15%でした。内部留保の大きな企業はショックに強いことを物語っています。そしてCashの手持ちの大きいことも有利でした。LSを蒙りながら「その他流動資金」として2,527億円の支出もしました。その内訳は短期投資2,021億円、自己株式506億円です。「資金BAL集約」シートを開けてください。黄色のセル、オーナー残存資金(固定投資まで自己資金だけで賄ったと仮定した資金残高)は+3,859億円で、借入金不要の状態です。しかし借入金が350億円増えましたが長短借入金合計715億円はCash残高が2,692億円あるので、即、返済できる額です。資金バランスで損益資金が一番大きな企業の実力を見た気がします。

                                          侘助の茶会衣擦れいや高し


資金会計原論Theory of Cash by Funds17.14 今、何故、資金別貸借対照表なのか-続

2009年12月7日11:01:47

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.14 今、何故、資金別貸借対照表なのか-続

緑 優良な会社京セラもリーマンショックを受けたようね。

父 リーマンショックは多くの会社がその影響を受けたが、ショックの吸収の程度には差異があった。その程度の差はJAL ANAで述べたが、京セラを例にこの問題に取り組んでみたい。Data for Blog.xls(ファイルサイズ:70.5KB)ファイル

京セラの添付ファイルの資金スコアボードシートを見てください。一番大きな資金は損益資金ですね。内部留保の大きい一番良い型です。優等生京セラでもリーマンショックのあった2009/03期の資金別損益計算書では損益資金が出金側にきてしまいました。その結果、実質損益資金は1,703億円減少しました。この赤字は固定投資1012億円の整理と、長期借入金313億円と、Cashによって埋められました。添付ファイル格付他シートご参照

9/03期の格付はショックがあったのにもかかわらず+10の高いポイントで資金状態も良好です。さすが京セラということができます。実質損益資金は減りましたが過去の蓄積した内部留保が減少しただけで、払込資本金はびくともしません。

          侘助や小さき老婆が住むといふ

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.15 今、何故、資金別貸借対照表なのか-続

2009年12月4日10:54:34

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.15 今、何故、資金別貸借対照表なのか-続
緑 日本で第3の財務諸表、キャッシュフロー計算書の作成が義務付けられたのが今世紀初頭ですから、佐藤先生が1986年(昭和61年)に財務諸表の裏に潜むキャッシュフローの存在を見破っておられたことは凄いことね。

父 緑の引用は佐藤先生の私家版「実践資金管理会計」の序文からだったと思う。佐藤先生のお考えはSchmalenbachに極めて近い。私は先生が特に動態論を研究されたとは思われない。佐藤先生は例えば減価償却を定率法でする場合と定額法でする場合で当期利益が違ってくる。なぜ当期利益がやり方によって違ってくるのか、何故だれが決算しても同じ当期利益にならないのか、について真剣に悩み、メモと鉛筆を枕元に置き思いついたことをメモしておき、資金会計理論が生まれたと聞いています。Schmalenbach との考え方の符合は偶然だと思います。戦後GHQの肝いりで1950年頃より日本での公認会計士制度の

導入が思案され、戦時中の会計学のブランクを埋めるために日本の会計学者は猛勉強をはじめ、動態論が花形として紹介されました。日本で第3の財務諸表の制度化は今世紀初頭でした。佐藤先生の私家版「実践資金管理会計」は1989年の出版ですから、佐藤先生はキャッシュフロー計算書を意識しておられなかった筈で、佐藤先生が苦悩のメモから、資金会計理論が誕生したことに畏敬の念を憶えます。

                                          凩の筆跡残る由比ガ浜

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.14 今、何故、資金別貸借対照表なのか-続

2009年12月3日18:00:58

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.14 今、何故、資金別貸借対照表なのか-続
緑 佐藤先生は1986年(昭和61年)には「損益」と「資金」は別物であるということは誤りであることがわかりましたと、述べておられるとお聞きしましたが。

父 そう、それはSchmalenbach(1889から1955)に代表される動態論なのだ。一航海一事業(One voyage one enterprise)の会計では航海を終わった段階での「収益」=「増えたCash」ですが、期間成果を計算するようになって「期間収益」≠「Cash増減額」となった。そこで次期損益計算書とを繫ぐ環として貸借対照表が作られた。佐藤先生は損益資金がCashとして残るのが理想だと言っておられた。その発言にはこのような背景があったものと思う。そしてこのようにCashフローが背後に潜んでいるのが動態論による近代会計だと思う。常に黒子として背後にあるCashフローを表舞台に引き出したのが資金別貸借対照表で、資金別貸借対照表と次期資金別貸借対照表を繫ぐ環はCash増減額です。そして3期資金別貸借対照表のBottom lineCashそのものの流れです。
                 
友がきは皆世を去りて十二月


資金会計原論Theory of Cash by Funds17.12 今、何故、資金別貸借対照表なのか-続

2009年12月2日09:33:03

資金会計原論Theory of Cash by Funds17.13 今、何故、資金別貸借対照表なのか-続

緑 棚卸資産が増えると利益も増える。利益が増えればCashが増える筈だけど、棚卸資産は資金を消費した結果なので、棚卸資産の増加は本当の利益ではないのでは?

父 その通り。1130日に添付した在庫利益を示す図は当期利益8億円に対して本当の利益が赤字11億円です。来期も同じような状態だとすると、借入金の返済はできません。短期借入金22億円は杓子定規に言えば1年以内に返済するものだからです。万一返済をせずに繰り回しに成功したとしても、更なる借入をしなければ回っていかないのです。P社は輝かしい成果にもかかわらず、実質損益資金(Cash利益、概念的には営業活動によるキャッシュフロと同じ)が赤字です。P社の場合はこの赤字額が粉飾で開いた穴です。2006/06期はこの穴9億円(資金別P/L参照)は20億の増資額で埋められました、2007/06期の穴8億円は短期借入金22億円で埋められました。次期に広がるであろうこの穴は何によって埋められるのでしょうか、今度は金融機関も騙されないでしょう。万事休すです。
           友がきは皆世を去りて十二月